fc2ブログ

盛岡藩の俊英那珂通高と吉田松陰の関り

旧盛岡藩士・那珂通高(1827~1879)長州藩士吉田松陰(1830~1859 獄中死)熊本藩士宮部鼎蔵(1820~1864 池田屋事件で死去)【前書き】久しぶりに歴史関係記事の掲載となる。私は数年前から郷里石巻と吉田松陰の関りが気になっていた。吉田松陰は嘉永5年(1852年)3月16日(新暦にすれば5月2日)に宮部鼎蔵(みやべ ていぞう)とともに石巻を訪ねている。この時に二人を案内したのが仙台藩士... 続きを読む

幕末の仙台藩のブレイン大槻磐渓とは?

 みやぎの先人集「未来への架け橋」第20話 大槻磐渓 -開国を唱えて- 【リンク動画について】 ブログのカテゴリーに「日本の儒者の研究」を掲げて間もなく5年が経つ。これまでは全国的に名の知れた儒家のみを紹介してきたが、今回は幕末の仙台藩が生んだ儒者(幕末~明治初期に活躍)を紹介したい。その儒者とは大槻磐渓(1801~1878)である。詳しくはYOU TUBE動画をご覧頂きたい。 磐渓の略歴を記... 続きを読む

陽明学者熊澤蕃山 身を挺して旧態依然の体制に抗う

前書き我が国は東アジアの小さな島国にあって儒教国家と言われる。我が国の武家社会に根付いた儒学を大きく二つに分けると朱子学と陽明学になる。今回紹介する熊澤蕃山(1619~1691)は師匠の中江藤樹の思想を継いだ反骨の陽明学者である。幕府の批判をしたがゆえに、晩年には幽閉されてしまうものの、死後は藤田東湖や山田方谷、吉田松陰などにも影響を与えたとも言われる。また、勝海舟は蕃山のことを「儒服を着た英雄」... 続きを読む

日本の陽明学の祖中江藤樹

前書き 朱子学や陽明学というと何かと難しい印象を受けるが、両者の違いを簡単に言えば、秩序を重んじ格物窮理(勉学によって知識を得、聖人に近づくことを説く)を主とする朱子学に対して、陽明学は秩序よりも心即理(人は学ばずとも聖人の域に達する志向を備えている。それを信じて生きることが重要と説く思想)を重んずる思想である。 趣旨は秩序を重んじるのが朱子学で、自主性を重んじるのが陽明学ということになる。 ... 続きを読む

幕府のイデオロギーに使われた林羅山の朱子学

前書き 今回は徳川家康の指南役を始め、徳川四代に儒者として仕えた林羅山を紹介したい。羅山は前回紹介した藤原惺窩の弟子に当たる。羅山は朱子学を基本に講じているが林家はその後も徳川幕府の責任的な立場に置かれることになった。 参考にした文献は疋田啓佑著『儒者 日本人を啓蒙した知の巨人たち』である。藤原惺窩が日本における朱子学の魁ならば、羅山は惺窩の精神を受け継ぎこれを幕府に伝える役割を果たした人物と... 続きを読む

武家社会のイデオロギー確立に尽力した儒者・藤原惺窩

まえがき 拙ブログでは過去に日本の儒者(儒学者)のことを数人取りあげた。三浦梅園、佐藤一斎、吉田松陰らである。今回は疋田啓佑著『儒者』を参考に、我が国の著名な儒者を紹介したい。そのために、新たにカテゴリーとして「日本の儒者の研究」を本日追加した次第である。儒者の名は「近世儒学の祖」と言われる藤原惺窩(ふじわらせいか)である。藤原惺窩(1561~1619)は日本で最初に朱子学を学び、武将たちに伝えた... 続きを読む

佐藤一斎『重職心得箇条』とは?

  [美しき日本] 岐阜 佐藤一斎  リンク動画について幕末の偉大な思想家である佐藤一斎のプロフィールである。私は去る2018年4月28日、自らのブログに「偉大な思想家・佐藤一斎への畏敬」と題した記事を書いた。その時は代表的著作である『言志四録』について触れた。 その中で元首相である小泉純一郎が、2001年の国会審議で引用して有名となったのが「少くして学べば壮にして為す有り……老いて学べば死して朽... 続きを読む

吉田松陰が遊歩した東北2

吉田松陰が遊歩した東北2・江戸では桶町の河岸の鳥山信三郎宅に身を寄せた。・嘉永5年4月18日:松蔭、足軽二人に護送され江戸を去る。・同年5月12日:萩に到着。室に幽閉さえ藩の沙汰を待つ。・同年12月8日:士籍を剥奪され、家禄没収の沙汰が下る。但し松蔭は父百合之助の育み(預かり)となり、長州藩に仕える身は留保された。同時に長州藩主・毛利慶親から百合之助を通して、松蔭の十年間に渡る諸国遊学の許可を申し... 続きを読む

吉田松陰が遊歩した東北1

前書き最近、織田久氏の著物を読んだ。「『嘉永五年東北』吉田松陰『東北遊日記』抄」である。織田久氏と言えばつい先日読んだ「江戸の極楽とんぼ『筆魔可勢』ーある旅芸人の記録」の著者でもある。織田久氏のプロフィールについて、著物から引用したい。織田久:1934年生まれ。早稲田大学美術史学科卒。日本読書新聞を経て無所属編集者。著書に『広告百年史』(明治篇・大正昭和篇)、『江戸の極楽とんぼ』(無明舎出版)があ... 続きを読む

偉大な思想家・佐藤一斎への畏敬

偉大な思想家・佐藤一斎への畏敬以前、江戸時代の儒者・三浦梅園を紹介したことがあった。今回紹介する思想家佐藤一斎(1772~1859)は同じ江戸時代の儒者でもやや年代が異なる。佐藤一斎のことを紹介する前におさらいのつもりで梅園の事を振り返っておきたい。三浦梅園(1723~1789)豊後国(大分県国東半島)出身。江戸時代の思想家、自然哲学者、本職は医者。条理学と言われる独自の学問体系を築いた『玄語』が... 続きを読む

知識に溺れる者を戒める三浦梅園

はしがき私は最近三浦梅園という江戸時代の哲学者に興味を持ち始めた。彼の遺した思想で印象に残ったのが「知識というものは、それが学習者の心に同化し、かつその人の性質に表れるときにのみ真の知識となる 。」という言葉である。大変残念なことだが、私は「思想の押し付けの回避」という名目で教育の場から「日本人の美徳」が廃れて行くのを肌で感じている。専門知識や博識に優れ、日々研鑽に励む識者の中に、時として徳が何で... 続きを読む