私の新たな読書趣向:山田風太郎ミステリー文学との邂逅 徹子の部屋 山田風太郎 ルーティーンリンク動画解説「徹子の部屋」に出演したミステリー作家山田風太郎(1922~2001)である。薄いサングラスを掛け、ほとんどカメラに視線を向けないところに、彼独自の世界観を重ねる。初めにプロフィールに触れておきたい。娯楽小説家、東京医科大学卒業、医学士号取得。『南総里見八犬伝』や『水滸伝』をはじめとした古典伝奇文学に造詣が深く、それらを咀嚼・再構成して独自の視点を... 続きを読む [タグ] 徹子の部屋 ミステリー作家 山田風太郎
今、泉麻人氏のバス旅エッセイ読んでます。 エーザイ ユベロンゴールド 新登場 15" 1989リンク動画解説大手製薬会社エーザイの1989年のCMである。人気若手作家(30代~40代)の顔触れに注目。東京都知事を経験した猪瀬直樹氏、NHKの人気番組『COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜』のキャスターを務める鴻上尚史氏 (演出家・作家)も見える。影山民夫氏(作家)に関しては、大変お気の毒だが、不慮の事故(自宅で深夜にプラモデルを作っていて、接着剤のシン... 続きを読む [タグ] 泉麻人 バスで、田舎へ行く 新・ロバスの旅
生前の池波正太郎の食道楽、そして酒 生前の池波正太郎 死生観インタビューリンク動画解説池波正太郎(1923~1990)は食と酒にこだわった歴史小説(時代小説)作家だった。『鬼平犯科帳』、『剣客商売』、『仕掛人・藤枝梅安』…には多くの食事のシーンや酒飲みシーンが登場するが、放送化された作品にもそれらは色濃く反映されている。もちろんこれらはストーリーから見れば枝葉でしかない。但し、この枝葉があってこそ、ストーリーが真実味を帯び生きてくる... 続きを読む [タグ] 池波正太郎 鬼平犯科帳 剣客商売 仕掛人・藤枝梅安 佐藤隆介
元首相細川護熙の悠々自適なセカンドライフと創作活動 はしがき 最近元首相の細川護熙の著物を読んだ。『不東庵日常』である。 細川護熙氏の略歴を紹介したい。 細川護熙(1938~) 旧熊本藩主細川家第18代当主。東京都生まれ。朝日新聞記者を経て、参議院議員、熊本県知事、日本新党代表、衆議院議員、第79代内閣総理大臣を歴任。公益財団法人永青文庫、鎮守の森のプロジェクト理事長 。90年代の国会の答弁で細川総理大臣が野党から質疑を受けた際「あなたは殿様の子孫だか... 続きを読む [タグ] 細川護熙 不東庵日常 不東庵 茅棟野人居 残生百冊 晴耕雨読
追悼 青森出身歴史作家長部日出雄の生涯を偲ぶ 伊達政宗、百万石への挑戦 リンク動画について本日紹介する歴史作家がゲストとして出演したYOU TUBEスレッドをリンクした次第である。波乱万丈な生涯を送った伊達政宗だが、彼を上回る宮城県人は残念ながら死後400年近くを経ても現れていない。さてこの番組にゲスト出演した作家は長部日出雄氏である。つい最近尊敬する二人の歴史作家の死を知った。一人は星亮一氏(仙台市出身 1935~2021)、もう一人の名は長... 続きを読む [タグ] 長部日出雄 津軽世去れ節 津軽じょんから節 見知らぬ戦場 その時歴史が動いた
日本史新聞というユニークな歴史本 最近、図書館で「日本史新聞」という本を借りた。内容が非常にユニークで史実を、現代のメディア視線で捉え論評を加えている。執筆されたかたは恐らく新聞か歴史読本の記者のキャリアをお持ちなのでは?と考えている。扱う年代が幅広く、何と石器時代から近代までとなっている。紙面の中の宣伝広告(月刊アルカイックなど)はもちろんジョークだが、これがなかなか面白いのである。一例を掲載する。史実を挙げた上での寸評は嫌みが... 続きを読む [タグ] 日本史新聞 最上孝太郎 本能寺の変 織田信長 是非に及ばず 明智光秀 サディスト 徳治主義
藤本義一の多彩な才能と味わい深いエッセイ 笑福亭松鶴(六代目)と藤本義一の対談 仙台市図書館(せんだいメディアテーク)で藤本義一のエッセイ集『人生はいつも始発駅』を借りた。本日はエッセイの中で彼が述べた心に残る言葉を紹介し、人々を魅了したという彼の人柄に迫りたい。藤本義一(1933~2012)は大阪府堺市出身の直木賞作家(脚本家・放送作家・テレビ番組司会者)であった。大阪を舞台にした作品を書き、エッセイも数多い。 日本放送作家協... 続きを読む [タグ] 藤本義一 11PM 松居一代 カフェ・ベローチェ仙台定禅寺通店 人生はいつも始発駅 老いの道、極めていこう化け物道
埼玉県北東部を舞台に書かれた田山花袋『田舎教師』 田山花袋『田舎教師』の舞台を訪ねて(ハイビジョン編集作品) リンク動画について一昨日の6月20日、NHKテレビでドキュメントを見た。内容は文豪田山花袋著『田舎教師』である。番組では埼玉県北部の行田市、羽生市を舞台にした作品を紹介している。モデルとなった人物は小林秀三(作品では林清三)である。秀三は1904年(明治37年)に弱冠21歳で世を去っている。秀三は現羽生市の三田ヶ谷の弥勒高等小学校に1901... 続きを読む [タグ] 田山花袋 田舎教師 三田ヶ谷 弥勒高等小学校小林秀三 林清三
歌人河野愛子が愛した仙台定禅寺通り 仙台探訪 定禅寺通り リンク動画についてユーチューバー・いつだってアウトドア様からの初のリンクである。欅並木を有する定禅寺通りは仙台人の誇りである。初夏の若葉の頃も素晴らしいが、枯れ葉の季節も趣のある風情を見せてくれる。そして間もなく始まる光のページェントも見物である。本日は定禅寺通りに関わる、或る女流歌人の話をしたい。その話はさておき、私は本日のAM仙台市図書館から借りている本の更新をする... 続きを読む [タグ] いつだってアウトドア カフェ・ヴェローチェ仙台定禅寺通り店 ぺーじのなかのせんだい 河野愛子 佐藤通雅 ホテル定禅寺
私と指向が良く似た一人の先賢 先日仙台市図書館からこのような図書を借りてきた。「きたかみ」と題打った随筆だが、本日はこの作品について述べさせて頂きたい。著者は石巻出身ではないものの。北上川河口の港町・石巻に思い入れの強いかたである。この本が出版されたのは昭和45年(1970年)ゆえ、今からおよそ半世紀前になる。著者は小学校の教員を勤められた(執筆時は現役と思われる)だけあって文学的な指向の強いかたである。冒頭に登場する徳田秋声... 続きを読む [タグ] 須藤良吉
永井荷風とカツ丼 130320京成八幡・永井荷風の散歩道(1)「大黒屋のカツ丼」https://www.youtube.com/watch?v=AwcG7q6b8kAリンク動画について皆さんはカツ丼は好きだろうか?カツ丼は私の大好物の一つである。本日はカツ丼をこよなく愛した一人の作家を紹介したい。作家の名は永井荷風である。彼は晩年に千葉県市川市の八幡に住んだ。彼が毎日のように通ったのが食道・大黒屋である。永井荷風が好んだカツ丼と日本酒のセットは8分頃から登場する... 続きを読む
菊池寛「仇討三態」と私の接点 つい先日、菊池寛の「仇討三態」を読んだ。歴史小説というより時代小説の要素の強い作品だが、史実が全く含まれてないこともない。三態のうちの一話に、宮城県の石巻(往時は牡鹿郡渡波)で起きた新発田藩士・久米幸太郎による実話も登場する。本日は「仇討三態」の粗筋を記すとともに、自分にとっての「仇討ち」とが一体何なのかについて考えてみたい。その一主人公は二十二歳から父の敵討ちを果たす為、六十余州を訪ね歩く。国を... 続きを読む
次に読みたい本 次に読みたい本着々と断捨離を行い読書環境を整えつつある私だが、本日は次に読みたい本を紹介したい。本日AM雑誌類の断捨離を進めていたところ、このような雑誌が私の目に止まった。2000年のサライ深秋特大号である。この雑誌は広告にしても内容にしても中高年にピッタリといった感じがする。40代の頃はやや背伸びして読んでいたこの雑誌が、今の私の感性にピッタリとはまるのは、何か不思議な気がする。井伏鱒二が58歳... 続きを読む
己の師匠を描くために参考にしたい本 己の師匠を描くために参考にしたい本私はブログを始めてから主に歴史ものやエッセイを中心に執筆を重ねてきたが、ここ数年執筆意欲が高まってきている分野がある。それは自分が尊敬し師と仰ぐ人物に関するものである。多くの作家は自分が師事した師匠のことを作品に残している。従って、私は何れは自分の尊敬する人物に関して語り、それをまとめたいたいという動機でこうした作品を読んでいる。①歴史作家早乙女貢が執筆した... 続きを読む
震災当日の朝の村上海岸とこれを描いた島尾敏雄の純文学 震災当日の朝に撮影した南相馬市村上海岸※日時指定投稿きょうで震災から三年が経つ。あっという間に過ぎた三年であったが、この震災は自分の人生観をも変えるような大きな出来事でもあった。三年前の私が携わっていたのは福島第二原発内でのある仕事であった。震災当日の夜は地震でズタズタになった道路と大津波の爪痕で仙台への帰路に関しては命かながらの脱出であった。当日の様子はこの書庫「震災を越えて」の中の一番古い記事... 続きを読む
太宰治の最高傑作「津軽」とは? 小説「津軽」は不朽の名作昨今、私はブログ仲間の和奴さん(青森県弘前市在住)から感化を受けた或る作家があった。彼の名前は太宰治。まさに剃刀のような鋭い切れ味を彷彿させる文章は稀代の天才作家に相応しいものがある。三連休中日のきょうは仙台市図書館(メディアテーク)に足を運んで彼のビデオ(過去にNHKTVで放映したもの)の第一作と最終作の二作を鑑賞した。 休日のひと時、様々な雑念から開放されて好きな作... 続きを読む
舞踏会で芽生えたロマンス❤… 芥川龍之介大正8年(1919年)作「舞踏会」 明治十九年十一月三日の夜であつた。当時十七歳だつた○○家の令嬢明子は、頭の禿げた父親と一緒に、今夜の舞踏会が催さるべく鹿鳴館の階段を上って行った。明るいガスの光に照らされた、幅の広い階段の両側には、ほとんど人工に近い大輪の菊の花が、三重の籬(まがき)を造つていた。 菊は一番奥のがうす紅、中程のが濃い黄色、一番前のが真っ白な花びらをふさの如く乱して... 続きを読む
幻覚で歯車が見えた時… 見えるはずのない歯車が見えたとき… 昭和二年、芥川龍之介作「歯車」 粗筋 見えるはずのない歯車や鱗のついた銀色の羽根…ホテルの一室に滞在しながら小説を書く私は幻覚に悩まされていた。そしてレエンコートを着た謎の男が時折現れるが、その正体は自殺した義兄の幽霊とわかり私は恐怖におびえる。 ホテルに滞在しながらある日外出した私はあるキリス... 続きを読む
出発は遂に訪れなかった。しかし… 特攻隊隊長ながら、出撃命令が出ないまま終戦を迎える昨日8月15日は終戦記念日だが、きょうは終戦にちなんだ文学作品をお伝えする。自らの稀なる戦争体験を小説に綴った作品「出発は遂に訪れず」(昭和37年、島尾敏雄作) 島尾敏雄(1917~1985) 奄美諸島の加計呂麻島は隣の沖縄本島と違い、終戦当時爆撃は受けたものの米軍の侵攻は受けていなかった。海軍士官だった島尾はそんな島に... 続きを読む
命さえ助かれば―― 短編だが心に残る名作「トロッコ」芥川龍之介は新原家の長男として、明治25年3月1日、東京市京橋区入船町に生まれた。 彼の生まれた年は父が43歳の男の厄年、母が33歳の女の厄年であり、大厄の年の子であった。そしてこの当時の迷信に従って彼は形式的に捨て子にされ、母の兄である芥川家に引き取られた。これはたとえ形式的にせよ彼の人生に負い目を感じるものとなっていっ... 続きを読む
五常をわきまえねば地獄に堕ちる外あるまい… 地獄を見て描いた絵とは?芥川 龍之介1892年(明治25年)3月1日 - 1927年(昭和2年 )7月24日)代表作羅生門にも見られるように、彼の作品の特徴はあえて人間の根底に潜む醜さ、卑しさを著し、その反面人間社会の道徳とは何なのか?を訴えるものが多いことである。 以下、小説「地獄変」より抜粋 堀川の大殿様のやうな方は、これまではもとより、後の世には恐らく二人とはいらつしやいますまい。噂... 続きを読む
発展を遂げる前の武蔵野を情感豊かに描く 武蔵野の林に一日中たたずみ、その妙に浸る。国木田独歩(1871~1908)は日本の自然主義文学の草分け的存在の一人である。代表作の一つ「武蔵野」時は今から約110年以上さかのぼる。1898年、まだ自然がいっぱい残っている武蔵野(東京近郊北部~埼玉県)が舞台である。 この古地図を良く見て欲しい。そして現代の地図と見比べて欲しい。古地図は1856年(安政3年)ころの武蔵国のものである。独歩が武蔵野を散策... 続きを読む [タグ] 国木田独歩 武蔵野 自然主義文学の草分け
まだ見ぬ足摺岬を想像で描いた作品 彼は荒れ狂う足摺岬の海を吠えたてる幾十ものけものがおしよせるようにと著した。 そして…以下小説「足摺岬」より抜粋 重たく垂れこめた雨雲と、果てしない怒涛の荒海との見境もつかぬ遠い崖から、荒海のうねりが幾十条となくけもののようにおしよせて来ていた。そのうねりの白い波がしらだけが真暗い海の上にかすかに光ってみえた。それはうねりの底からまき上がり、どうとくずれおち、吠えたてる海鳴りをどよませなが... 続きを読む
銀(しろがね)心中 銀 心 中 作家、田宮虎彦(1911~1988)は昭和25年(1950年)夏、小説執筆のため岩手県花巻市郊外の鉛温泉藤三旅館を訪れていた。 彼は映画化された代表作「足摺岬」の作者でもあり、他の作品には「絵本」「菊坂」「異母兄弟」「牡丹」などがある。 作家が執筆のために温泉旅館を訪れるのはよくあることだが、彼はゆったりとした湯治の日々を送るなかで、ふとある日湯治にある床屋(理髪店)を訪ねた。... 続きを読む
福島県小高町村上海岸の『いなかぶり』 過ぎ去りし少年時代のよき思い出 多くの作家は自分の生い立ちともいえる少年時代を描いている。死の棘などの名作を残した作家島尾敏雄(1917-1986)もその一人である。 島尾は戦中特攻隊に所属し、出撃することなく戦後を向かえその稀有なる経験を「出発は遂に訪れず」に著した異色の作家でもある。 また彼は『いなかぶり』という作品の中で祖母と過ごしたかけがえのない自分の少年時代を描い... 続きを読む
恥の多い生涯を送ってきました… 恥の多い生涯を送って来ました実は私もそうなんです;;仮に本当だとしても公衆の面前でこういうことが言える人がいるでしょうか?きょうは太宰治が生まれてちょうど100年にあたる日です。桜桃忌も行われましたが、その節目の日に彼の代表作「人間失格」の作品について考えてみたいと思います。 心中、自殺を繰り返した太宰治がその罪を主人公の大庭葉蔵に置き換えて、過去のあやまちを告白します。太宰はこの小説で人間の... 続きを読む
生まれてすみません… 生まれてすみません 「生まれてすみません」…これほど私にインパクトを与えた言葉はありません。中学生のときに国語の教科書に載っていた「走れメロス」を書いた太宰治がなぜこんな言葉を言ったのか、全く理解できませんでした。今年は彼の生誕100年にあたる年で、生まれ故郷の津軽ではいろいろな催しがあるようです。また6月17日22時からはNHK総合TV歴史秘話ヒストリアで「太宰治特集」が放映されます。 太宰のこと... 続きを読む