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高僧鑑真の帰化を描いた小説

「天平の甍」最近、私は「あらすじで読む日本の名著」と映画版の同ビデオで1957年発表井上靖「天平の甍」を鑑賞した。「天平の甍」概要(インターネット、「あらすじで読む日本の名著」を基にミックが編集)時は今から1300年近く前の天平の頃、課役逃れの農民の出家が社会問題となっていた。この時期厳しい戒律(各自が自分で心に誓うものを「戒」、僧侶同士が互いに誓う教団の規則を「律」という。)が備わっておらない故... 続きを読む

シルクロードから発掘された美女のミイラとは?

シルクロードの砂に埋もれ二千年後に発掘された謎の美女   1958年井上靖「楼蘭」概要  ※日時指定投稿楼蘭は敦煌の西に存在した幻の小国である。この楼蘭が歴史上に名を現わすのは紀元前百二三十年頃から同七十七年までであり、わずか五十年ほどであった。この頃の楼蘭は匈奴(現モンゴル辺りに居着いた遊牧民)の脅威におびえていた。 ※写真はインターネットから借用楼蘭はこれを解消するために漢の庇護の下に入ろう... 続きを読む

シルクロードの基点であった敦煌には何があったのか?

 井上靖 敦煌(とんこう)                井上靖「敦煌」概要11世紀の始め、漢人である趙行徳(ちょうぎょうとく)は、進士の試験の面接時の待合室で居眠りをしたためこれに失敗する。落胆した行徳は開封の町の郊外の市場の辺りを魂が抜かれた者のようにふらふらと彷徨い歩いた。そこで行徳が見たものは食肉として売られている生きた西夏の女であった。 行徳が情けをかけ救ってやろうとと言い出すと、女は... 続きを読む

茶の道への憧れ「本覚坊遺文」

1981年発表井上靖長編小説「本覚坊遺文」※文中の右端が切れるかたはお手数ですがページの設定の文字の大きさを「中」または「小」にしてください。読書動機私の読書スタイルを一口で述べるなら尊敬する作家ありきというタイプになる。最近井上靖の書いた「孔子」を読み、孔子自身の真髄に迫る人物像を描くとともに彼を取り巻く人物の表現の巧みさに引かれたことが本書への読書欲に繋がった。孔子という思想上に於ける聖人もそ... 続きを読む

孔子の生き様、人となりを身近に感じる小説

   論語のルーツに迫る野間文芸賞受賞、井上靖1987年発表長編小説「孔子」概要 ストーリー上での筆者の篶薑(えんきょう)は孔子一行の臨時雇いとして雑用係となり一行に関わることとなった。篶薑は宋都に入る前、止宿しようとした無人のあばら家で一行の極めて異様な光景を目の当たりにする。それは稲妻や雷鳴、豪雨にさらされつつも、これを一切避けようとせずこれを受け止め端坐して夜を明かそうとする姿であった。... 続きを読む

井上靖「氷壁」読後感想

      井上靖「氷壁」 (1956年発表)昭和31年(1956年)2月24日から昭和32年(1957年)8月22日まで朝日新聞に連載され1957年に新潮社から単行本が刊行されベストセラーとなる。昭和38年新潮文庫になり、平成9年埼玉福祉会から「大活字シリーズ」が発刊される。      あらすじ舞台は昭和30年の年末。ある広告代理店に勤務する新鋭登山家魚津恭太(32歳)は、翌年の昭和31年正月に... 続きを読む

戦後の日本の景気づけとなった或る小説

 敗戦で沈んだ日本へ景気回復意欲をもたらす    昭和24年芥川賞受賞、井上靖「闘牛」粗筋 byミック  時代背景は戦後の焼け野原が広がる昭和21年暮れの大阪である。37歳ながらある新聞社の腕利きの記者の津上は海千山千の荒法師を思わせる風采の興行師田代と商談に及んでいた。それは四国のW市(宇和島市と思われる)から22頭の牛を連れてきて、阪神球場で三日間に渡って戦わせる。即ち闘牛の興行に関するもので... 続きを読む

実母への誤解が解けた後には…

 私は多感な少年期を伊豆半島の湯ヶ島で過ごした 多くの場合、歴史や文学は点から線に発展する際に大きな感動を伴うものである。  連休中は与えられた時間を無駄に過ごすことなく有意義に使いたいものである…  そんな思いもあり。今日の午前中、私はその感動に浸るべく今話題の松竹映画「わが母の記」を観に仙台市南部のある映画館に向かっていた。 ※写真:雪の湯ヶ島(伊豆半島)私が訪れた映画館は仙台市太白... 続きを読む

ああ湯が滲みてくる…

芥川賞作家、井上靖(1907~1991)以下は私自身の二代目主人への取材をもとに「名作を生んだ宿」からの一部抜粋を加え、私の主観を基にオリジナル構成した。 靖が小説「海峡」を書いたころの下風呂温泉現在は海側が埋め立てられて二つの岩のあたりは公園になっている。また温泉街と海の間に国道279号線が走っている。 現在の下風呂温泉街温泉街というのはどことなく哀愁を誘うものである。本州の北の果てとなればなおさ... 続きを読む