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 エッセイ「雨上がりの田園地帯と虹」
三日間降り続いた雨がようやく上がった。JR代行バス(亘理~相馬)に乗車している時、にわか雨に遭ったがすぐに晴れ渡った。空けない夜がないのなら、上がらない雨はない。久しぶりに覗く青空に気分爽快である。

鬱蒼とした竹林のイグネに抱かれた民家、雑木林の処々に咲き乱れる山桜、めっきりと緑づいてきた畦の傍の土手が私の心を和ませてくれる。雨上がりのせいか遠くに望む阿武隈山地には処々雲がかかっている。列車は一気に90キロ近くにスピードを上げた。このあたりは仙台市街地の列車の運行速度とはまったく違う。相馬のローカルぶりを感じる部分でもある。

間もなく、列車は住宅地から郊外に出た。広大な田園地帯に虹のアーチがかかった。朝から心の高揚を感じる。私は晴れ渡った空と虹が転勤したばかりの自分の心境を激励し、祝福してくれているような気がした。

列車から降りて自転車に乗り換えた。小鳥のさえずりを聞きながらゆっくりとペダルを踏む。心地よいそよ風を頬に受け、新鮮な田舎の空気を肺いっぱいに吸い込む。いつも同じ場所の田にいる鷺がいつもと同じように舞い上がった。

田と林の間の曲がりくねった道を少し行くと溜池がある。右側の林がせり出したこの溜池は複雑な形をしていて一望にできない。自転車を止めて、ふと向こう岸を見ると一人の釣り人が居た。

時間はゆっくりと過ぎ行く。じっと彼を見ていると今が朝なのか昼なのかも忘れてしまいそうである。釣り人は私に気づかずじっと水面を見つめながら、釣り糸を垂れていた。虹と釣り人との遭遇はまったく思ってもいなかったことであるが、なにか縁起のいいものを感じた。そろそろ連休も近づいてきた。私は清々しい思いに浸りつつ、いつもより軽いペダルを感じつつ職場へと向かった。

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