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1892ストランド誌発表、シャーロック・ホームズ銀星号事件

銀星号事件(原作SilverBlaze1892年12月ストランド誌発表)粗筋
ロス大佐の所有する銀星号という名馬が失踪した。ホームズはワトスンを連れてキングス・パイランドへと出向くことになった。グレゴリー警部からの依頼だった。彼はホームズが一目を置く敏腕な警部であったが搜索に四方八方手を尽くしたのだが、不思議なことに一週間経っても銀星号は見つからなかった。

グレゴリー警部から事件の依頼を受け、名馬銀星号について語るホームズとワトソン(於:ベーカー街)ビクトリア王朝時代の産物とも言える豪華な銀製の食器類に着目。



列車に乗り込んでキングス・パイランドへ向かうホームズとワトソン。ホームズは懐中時計を睨みながら線路の電柱の間隔によって列車は今、時速55マイルで走っているとワトソンに告げる。



駅を降りた二人はと馬主のロス大佐とグレゴリー警部に逢い、四人は馬車で銀星号の厩屋へと向かった。



ワトソン(写真左)はホームズとともに事件の依頼者であるグレゴリー警部(写真右)に事件のいきさつについて詳しく聞いた。
※他の作品同様に英国紳士の服装も見処である。



銀星号の厩屋の従業員の証言によると、夜に怪しい探り屋風の男が厩屋を訪れ、その翌朝に銀星号は消えたという。そして間もなく厩屋から離れた場所で調教師ストレーカの撲殺死体が見つかった厩務員の三人の夕食にマトンカレーに阿片を混入されていたために熟睡しており物音に気づかなかったと言う

死体の側には探り屋が巻いていたスカーフが落ちていたので、その持ち主であったフィッツロイ・シンプソンはすぐに逮捕(後に冤罪とわかる)されたものの、銀星号の行方は以前わからないままだった。遺留品にはストレーカーの物と見られる白内障用のメス、ロス大佐の指示書、婦人用の高価なドレスの請求書が残されていた。ここでホームズはストレーカーは探り屋風の男に殺されたのでなく、蹄を傷つけようとしたストレーカーに対して身の危険を察した銀星号が動物の本能とも言える正当防衛で反撃に及んだ行為と推理した。

ダートムアの広大な荒野を見渡したホームズは、馬は群居性の高い動物であることから、キングス・パイランドの厩屋に戻っていなければ、隣のメープルトンの厩屋へ向かったと推理した

※事件解決への有力な手がかりを求め、ダートムアの広大な荒野を捜索するホームズとワトソン。



果たしてホームズの予想通り、メープルトンへと向かう銀星号の蹄鉄跡と人間の足跡が見つかった。そしてメープルトン厩屋に訪れると予想通り、証拠隠滅のために鼻の上の十字架模様に墨を塗られた銀星号を発見したここで自分をアマチュア扱いしたロス大佐を驚かしてやろうとホームズはワトソンとともにユーモアに溢れた芝居を打つのであった。

※夫人同伴でダービー見物に訪れる英国紳士たち、当時の英国人女性のファッションも見ものである。後ろで話している髭の男は予想屋か?



ワインを飲みながらダービーに興ずる人々。既に19世紀後半にしてこのような娯楽が定着していたと思うと同国の伝統と豊かさには改めて羨望を感じる。



「馬を盗んだ犯人はそこに居ます。」「冗談が過ぎますよ。ホームズさん。」
正装したホームズは茶目っ気たっぷりでロス大佐をからかった。
心の余裕から来る英国特有のユーモアも同シリーズの大きな魅力と言える。



スタートすると銀星号は何事もなかったかのようにいつもの通り勝利を飾った。
※帽子を飛ばしながら一等でゴールする銀星号のジョッキー



満面の笑みを湛えて名誉のトロフィーを受け取るロス大佐。
彼は何度もアマチュア扱いしたホームズへの非礼を深く詫びるのであった。



横町感想
当時はまだ電話がなく、連絡手段は電報や郵便であった。また列車はもちろんSLでアナログ文化特有のおおらかさを感じるものがある。往時の英国はビクトリア王朝後期に位置するが、産業の発展がもたらした豊かなお国振りが様々なシーンに見られる。例えば紳士の正装ぶり、懐中時計などの小物、婦人の華やかな服装、豪勢な建物などは現代から見ればマニアックであり、圧巻でもある。ストーリーもさることながら品のあるユーモアを味わいつつ、19世紀後半の英国の文化に触れながら懐古趣味に浸るのはなんとも心地のよい気がする。

本シリーズでは地方ロケも魅力である。荒野とも称される英国の原野の多くはなだからな丘陵、牧草地帯がほとんどで、どれも人の感性に優しい。このなだらかな原野の様を見て思い浮かぶのはゴルフである。英国といえばゴルフ発祥の地でもある。恐らくゴルフの原型もこのような地ではぐくまれたことだろう。

誠実でオーソドックスな指向を尊ぶお国柄は我が国と様々な接点を感じるものである。懐古趣味がもたらす豊かさと至福。このような視点でこの作品に鑑賞すると、改めて個々の作品への一層の魅力が湧いてくるものとなるだろう。
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