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 芸術の秋に於ける古美術鑑賞
去る10月26日(日)の早い時間、私はJR仙台駅地下一階のカフェを訪ねた。静かなところで心を落ち着け、美味しいコーヒーでも飲みながら読書をしたかったのである。

この日、私が読んだ本は志賀直哉の「暗夜行路」である。本作品は数年前に一度読んでいるがことのほか気に入ったので再読に及んだ次第である。

暗夜行路はノンフィクションながら、志賀直哉の自叙伝に近いものである。この暗夜行路はストーリーもけして悪くないが、ストーリーに興じる以外に別な楽しみ方がある。

ポイントは巻末の注釈にある。注釈には著名な寺社仏閣のことや中世から近代にかけての著名な芸術家のことなど、様々なことが477項目に渡って綴られている。志賀直哉の文学は端折りが多く、理解しにくいことも多いので、巻末のこの注釈を読むのが新しい方面への興味発展に繋がり、これを知るのが非常に楽しいのである。

読書で一時間ほど時間を潰した後で、仙台駅東口に出てみた。少し寺町を歩きたかったのである。駅に面した通りは開放感に溢れる4車線の広い通りであるが、少し歩くと寺町に入るのである。

寺巡りだけでも一つの記事になりそうだが、前回のJR小さな旅と類似した記事になるゆえ、敢えてこの報恩寺のみの紹介として他は割愛する。報恩寺は駅から徒歩5分、本堂は古い建物で後ろ髪を引かれた。

ひたすら南に向かい、若林区土樋にある福島美術館に着いた。この美術館は過去の記事で数度紹介したことがあり、行きつけと言ってもいいお気に入りの美術館である。

ここは特別展の開かれている三階である。

この日の特別展は「仙台が生んだ浮世絵師・熊耳耕年」である。明治、大正、昭和と活躍した耕年は非常にレパートリーが広い画家であったようである。

論より証拠、先ずは彼の作品を御覧頂きたい。この日私が一番気に入ったのがこの「正月」美人である。説明によると芸妓さんの凧揚げとのことであった。

これは仙台初代藩主である伊達政宗公である。如何にも天下取りを狙った戦国武将の野望が見え隠れする絵で、不敵とも受け取れる表情が印象に残った。

これは往時の奥州街道の要衝であった芭蕉の辻である。往時の奥州街道の繁栄を現在に伝える貴重な絵である。

この絵の中に商売の神様と言える仙台四郎が描かれている。(右から二人目)
熊耳耕年が仙台四郎を実際に見たか否かは不明である。江戸時代の趣が伺え、非常に興味深い描写である。またこの絵は着座以外の仙台四郎の風貌を伺わせる貴重な絵と受け止めている。


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