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1970大河ドラマ山本周五郎原作「樅ノ木は残った」OP
今年の夏に私のもとに或る仕事が舞い込んだ。それは或るところから依頼された歴史エッセイの執筆である。何を題材にするかの選択肢は私に与えられることとなったが、私は迷うことなく寛文事件(伊達騒動)を選んだ。その中で私は「樅ノ木は残った」のストーリーの如く、原田甲斐が忠臣の可能性があり、伊達兵部は逆臣であり、伊達安芸は甲斐と心の通じ合った仲であると書いた。

そのエッセイが活字となって一ヶ月も経たないうちに私宛に或る読者から匿名で辛口の投稿が寄せられた。ミックとは一体どんな人物なのか?どうせ地元の者ではあるまい。どうせろくな者であるまい。どうせ他所から流れてきた人物に相違あるまい。どうせろくな教育を受けてない者に違いあるまい。ミックなる者にこのようなことを書かれて夜もろくに眠れない…。それは私が目を覆いたくなるような、否その手紙を破いて捨てたくなるような気持ちになる言い現しようもない嫌悪に満ちた文章であった。

この手紙をもらってから数日、私はこの人物と同じように眠れない夜を過ごした。その人物は伊達兵部を忠臣、伊達安芸を逆臣、原田甲斐を両者の間を行ったり来たりする蝙蝠のような人物と主張してきたのである。私も数冊の文献を読んでから執筆したゆえ、自信はあったが感情に走り、猪武者に成ってはならないことを踏まえつつ、敢えてここはすぐに反論せず、一歩下がることとした。

多くの物事ではこうしたインターバルが双方への冷却をもたらし、新たな活路を見出すものに変わり得るのである。私はそのようなことを考えながら秋晴れの好日となった土曜日、通いなれた仙台市博物館へと向った。

博物館で学芸員のかたと遭った。遭った理由は中立的な考えが聞きたかったからである。歴史考察は独りよがりであってはいけないし、忌憚のない人様の意見に耳を傾けるものでなくてはならない。

これは歴史考察のみでなく、実社会全てに言えることである。主観に走らず、こうしたステップを踏まえて初めて、やっと自分の発言するシチュエーションが揃うというものである。

彼には今の私に於かれた事情を話し、一年半ほど前に行われた「寛文事件」のパンフレットを頂いた。

複雑極まる寛文事件の真相。こうして見るとこの事件ほど複雑怪奇な事件はないという気がしてくる。要は仙台市博物館としてはこの事件で忠臣と逆臣を決めることはしていない(山本周五郎の小説も否定できないしかと言って従来までの説も否定できす、結論は出せない)とのことであった。

この後、ミニシアターで慶長遣欧使節団「支倉常長光と陰」を観た。

20分ほどの上映時間であったが非常に中味の濃い映画である。しばらく観ていなかったゆえ、新鮮な思いを感じた。

侍たる者、一生脚光を浴びることなく、例え地味な存在であっても彼のような一筋な生き方を志し、武士道を貫きたいと思った次第である。

私はこの学芸員のかたに厚く礼を述べ、少し早い帰途に着いた。

この痛烈な手紙を書いた人物に物申す。

匿名なら匿名の書き方、評し方がある。それがしは所在を明らかにしている。しかるに匿名でない方と同じ舞台に立っていない。これをしかと肝に銘じるべし。あなたに痛烈な批判があるなら匿名とせず、己の身上を明かし、堂々とやるべし!

 本ブログ「寛文事件の研究」シリーズ見出し

伊達安芸が己の死と引き換えに得た尽忠とは?http://rd.yahoo.co.jp/blog/article/titlelink/*http://blogs.yahoo.co.jp/bgytw146/32754612.html
仙台藩忠臣片倉小十郎影長屋敷、原田甲斐屋敷跡の探訪http://rd.yahoo.co.jp/blog/article/titlelink/*http://blogs.yahoo.co.jp/bgytw146/32676783.html
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コメント

No title

おばんです。
エッセイに対して批判のコメントをいただいたとは、たいへんでしたね。
私が思うに 作品の内容に関しての批判や意見は、ある程度仕方のないことのように思いますが、それを書いた人物に対する批判は、良くないように思います。

歴史に関しては、できれば中立的に見るのが一番かと思いますが、その歴史を書いたり記録に留めたりした側から見たことが、歴史そのものと捉えられることが多いように思います。
でも、それが、歴史だと思います。

いろいろとたいへんかと思いますが、これからも頑張ってください。

URL | やまめ ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

つや姫さん、匿名での中傷こそ卑怯極まる手段はない。反論があるなら双方が己の名を名乗って一席を設けた上で堂々と討議するべしと心得ます。従ってこの人物の訴えに答える筋合いはまったくないと思います。
但し、ここは一歩下がって己を抑え、冷静に歴史研究の最前線はどう捉えているのかを探るのも歴史作家には必要なことと思い、昨日は仙台市博物館訪問に及びました。

学芸員のかたは「遣欧使節団」のほうが専門とのことでしたが「伊達騒動」についてもご教授頂きました。博物館としての見解に接し、予想していた通りの結論を得たものにごさいます。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

とっちゃん、飯の食えるレベルまで到達できるか否かはそれがしの今後の精進次第と心得ます。
それがしは自己を客観しているゆえ、このような仕儀は人様に対しては絶対に致しません。
唯我独尊は自由だが己の主張をどこまでも通して、人様に押し付けることなかれと心得ます。
それがしはこれを理解しているゆえ、歴史研究会などの席で人様の弁舌に耳を傾ける姿勢は出来ています。

然るにそれがしに匿名でいろいろと申し立ててくる人物もこれを肝に命じて頂きたい。作家としての作品への批判はお受けしますが、個人攻撃や匿名での中傷は一切受け付けないとこの場で申し上げる次第にごさいます。

コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

joeyrockさん、暖かいお言葉を頂戴し感謝しております。ところで話は変わりますがこの「樅ノ木は残った」OPがYOU TUBEに復活し喜んでいます。このBGMは暗雲の中に見え隠れする様々な人物の伊達騒動への思惑を如実に表した曲と思えるのです。

昨日会った学芸員のかたは以前の歴史講座(伊達政宗の書いた手紙)を拝聴し、また「航」(慶長遣欧使節関係の広報誌)を頂いたときに名刺を渡した経緯もあったゆえ、忌憚のないお話をさせて頂きました。

やはりこの伊達騒動の真意は神のみぞ知るということと受け止めております。昨日はこれを再認識できただけで有意義な一日と相成りました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ことじさん、慶長遣欧使節もそうですが、歴史の闇に葬られたような事件を辿ってゆくと何れはこのようなかたと遭遇するのが世の恒と受け止めております。
但し、ここで意固地は大敵、先ずは相手の意見を聞くべしと心得ます。
このようなスタンスのない者は歴史研究という表舞台に上がるべきでないと考察します。
暖かいお言葉を頂戴し感謝しております。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

boubouさん、創作家にとって賛意の手紙ほど良薬になるものはございません。
但し、賛意だけでなく、こうした感情を抱く人物も現れるのもけして珍しいことでなく、普遍的なものと言えると受け止めております。
貴兄からは記事への主旨へ理解を頂き感謝しております。コメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

不あがりさん、この作品に関しては計二名の投稿がごさいました。
一つは本記事に関することで依頼者経由で投函された一通の手紙にごさいます。
もう一人のお方は匿名ではごさいましたが、それがしの作品へのことについて感想を理路整然と述べており好感を持ちました。
匿名なら匿名の書き方、評し方がある。匿名でない方とは同じ舞台に立っていない。これをしかと肝に銘じるべし。痛烈な批判があるなら匿名とせず、己の身上を明かし、堂々とやるべしと心得ます。

貴兄からは暖かいお言葉を頂戴し感謝しております。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

やまめさん、霞の中で見え隠れする史実を少しでも捉え、作品の中に反映させたい。創作家としてこのような姿勢を失ったら躊躇することなく筆を置くべしと心得ます。

実人生もそうですが先ずは人様の言うことによく耳を傾けるべしと思います。その上で初めて己の意見を聞いてもらう基盤が出来上がる。これを理解していないかたが居られるのは残念です。

貴兄からは暖かいお言葉を頂戴し感謝しております。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミック様へ
あらためて読ませて頂いているのですが。私はいつも芸術において。まあまあは無い。良いか。悪いかでしかないという考えを持っています。これはあくまで絵画彫刻ですが。まあまあは失敗作となります。それは目に留まらないからです。インパクトが無い。心に訴える物が無い。人によっては不快と感じる作品も。他の方が見れば傑作となる。ミック様がお書きになったエッセイは。今までの。この方にとっての通説と思われた考えに一石を投じた事になります。これは先入観から来る物です。それほどミック様が書かれたエッセイはインパクトがあったという事では。昨日も書きましたが。歴史とはその読み解き方により見方が変わります。ミック様が初めて投じられたエッセイは人にインパクトを与えたという事です。それは成功だったと私は思います。普通であれば右から左へと抜けて行くものです。それが短いエッセイでありながら。その方の頭に叩き込まれた。それこそが素晴らしい事と私は思います。有難うございます。

URL | 不あがり ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

忠臣であったと願っている一人であります!
気分は良くありませんがエッセイに批評を受けると言うことは、公に認められたらと言う証拠であり、スゴイことですよねぇ~https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_s357.gif">
歴史は研究者・読者によっての妄想の世界であり、誰も正解は知り得ないと思いますhttps://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_s353.gif">
推論をアレコレ論ずるのが楽しいですよね!https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_s14.gif">

URL | M.ROSSO ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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ミックさん 堂々としていてくださいまし。

禍福凛々動より生ぜじ! 人間動けば多少なりとも渦生ずるが如くです! これは避けがたき事象です。

URL | - ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

不あがりさん、某の寛文事件の検証は①「樅ノ木は残った」ビデオ鑑賞②歴史研究の小冊子③作者不詳寛文事件④山本周五郎「樅ノ木は残った」原本という順序にごさいます。
一般論で言えば一番最後に読んだ文献が最も頭に残るのは世の常、人の恒とも言えましょう。
某は権力に逆らう輩ゆえに周五郎の気持ちが痛いほどわかるのです。
滝に石を投じれば無傷では済みません。これは某とて同じにごさいます。
某は匿名で手紙を送った人物にこう告げます。「『樅ノ木は残った』」は多くの反感を買いつつも共感もあったに相違ない。権力とはこういうものである。これが今の某の結論である。」と。
コメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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ロッソさん、昨今、寛文事件のことでいろいろとごさいましたが結論は神のみぞ知るということになります。
この中で肝要なことは人の意見を面と向かって否定しない。一度は耳を傾けるということに相成りましょう。
こういった基本的姿勢が出来てない人物とは付き合えないと思いました。
原田甲斐や伊東七十郎を支持される貴兄とはいつかお会いして熱い思いを交歓させて頂きたい所存にごさいます。
本日はコメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ゴンゴーさん、御意!それがしとて枯れても武士。それは心得ております。
それを証拠に次回掲載の記事は己の考えを貫いたものとする青写真を既に作成済みにごさいます。
コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミック様
歴史には色々な視点や側面があるのだなあ。とあらためて感じます。ロマンがありますね。https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_d140.gif">
たかぽん

URL | たかぽん ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

たかぼんさん、以前貴兄のサイトにおじゃましたことはごさいましたが、今回は初コメントを頂き感謝しています。
歴史研究が唯我独尊ならそれも結構、但しこういう人は己の殻に閉じこもり、人に口出しするべからずと思います。
もし、情報交換したいならば人の意見をあからさまに否定しないことが肝要と心得ます。
本記事の主旨は左様にごさいます。本日はこれを理解して頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

折角、同じものに興味があるかた同士がこうして出逢えたというのに
非常に残念でしたね・・・先方がそのような出かたでなければ歴史談義に
花を咲かせる中で有意義な会話も生まれたかもしれませんのに。。。
人様の抱く「嫌悪に満ちた感情」を一旦受け止めるのにもなかなかの
エネルギーが要る事と思います。Mick!さん、本当にお疲れ様です・・・
道を貫き、冷静に対応されるMick!さんをこれからも応援してます。

URL | 5 3 8 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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ルンさん、今回のことに関しては人には様々なこだわりがあって、それを心の支えとして生きていると感じた次第です。
ここで他者排他に陥るとこうしたことが起こりうるわけで、ここに人の話を聞くことがいかに大切なことであるのかを窺い知れるものにごさいます。
ここでおじけづいていたのでは仕事になりません。ここは作家魂の見せ所と心得ます。
ご自身からは暖かいお言葉を頂戴し感謝しております。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

歴史を語るのは難しいですねえ。
その時代を生きてない人たちが、色々と憶測も
こめつつたどっていくものですから。
タイムマシーンでのあればその時代の人たちの
本当の姿を見ることもできるでしょうけど。。。
歴史の面白さは、あ~でもないこ~でもないと
想像を膨らませながら探求していくところに
あるのではないかと思ってます。
好きな人は贔屓目でみちゃいますしね。

URL | まゆ ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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まゆさん、歴史考証に於いて己と何らかの接点を見出したとき、ほとんどのかたはこれに感動し、ご自身のおっしゃる「贔屓目」という視点に捉われがちになる。

ここが危険であり人間が陥りがちな盲点と受け止めております。作家の視点から見ればこれはこれで創作意欲に繋がるもので大変ありがたいことなのですが、歴史家の視線としてははなはだ芳しくないものと心得ます。

即ち、ノーベル賞を受賞した湯川秀樹氏は『現実は痛切である。あらゆる甘さが排除される。現実は予想できないほど豹変する。あらゆる平衡はおそかれ早かれ打破される運命にある。現実は複雑である。あらゆる早合点は禁物である。』と述べています。

某は自然科学も社会科学もかくあるべしと受け止めております。コメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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