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 Hall&Oates Maneater 
エッセイ「若年の日の出来事を肴に今宵もオンザロックをあおる」
憂いを帯びたメロディーはなぜか暗い。この曲を聴くとあの時のことを歯がゆくもあり苦々しく思う。とにかくこの頃のことを黒く塗りたいと思うし、それがどうしても叶わないなら穴に入りたいとさえ思うのだ。あの時こうしていれば私の運命は大きく変わっていたに違いない。だが現実は甘いものでなかった。

過ぎたる若かりし日の失恋、だがこれを人生修行というにはあまりにも切ない気がする。今思うとあの時の私は確かに青かった。客観視とはかけ離れ、思慮を欠いたものだった。だからことは成就に至らなかったのだ。

その後に打ちひしがれたあの頃の自分は如何にも惨めだった。私は生ける屍のような自分を早く葬り去り、心の傷を癒したかった。それゆえその直後には友人Sを誘って徹夜の酒を食らった。もちろんやけ酒である。私の周りでこの失恋を知っているのはごく数人の友人だけだったし、長い年月を経た今となってはSでさえ覚えてないだろう。時の経過は心の傷を消してくれたが、古傷のようなものが心のどこかに残っているような気がする。
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最近酒の飲み方が変わった。酒を飲みながらこの曲を聴くと、再び過去に遡って当時の苦々しい経験を思い出すもののそれは人ごとのような気さえする。主観を離れることを覚えた今の自分にとって、酒は人生の友であり単なる一時の慰めでない。自虐的な酒は飲まなくなったのである。己を客観し、ようやく当時の苦々しいことを「無用の用」と前向きに捉える余裕が出てきたのだ。このような酒ならいつでも付き合おう。さあ、今宵も酒をあおり、過去のがんじがらめの自虐を忘れようとせず、これを肴にして美酒に酔うのだ。
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