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伊達六十二万石取り潰しを防いだものとは?
去る6月21日午後、私は出入りの図書館に趣き、山本周五郎原作「樅ノ木は残った」NHK大河ドラマ版ビデオを三度目の鑑賞に及んだ。きょうはそのクライマックスシーン(結末の部分)をお伝えしたい。

これは大老である酒井雅楽頭忠清(右)が老中の久世大和守広之から伊達六十二万石の分割に関する密約書の存在を指摘されたシーンである。外様大名である伊達藩を撮り潰すのは幕府の思惑が絡んでのことであったが、いくら最高権力者の大老でも、このような私利が絡んだ場合、そこもと(貴殿)の大義が立たなくなると久世大和守広之に指摘されるシーンである。大老に対し一歩も引くことなく、淡々と物申すシーンはあっぱれというしかない。

このようにはっきりと酒井雅楽頭と伊達兵部の連名が記され、伊達六十二万石の約半分である三十万石が伊達兵部に与えられると書いてある。兵部の長子は雅楽頭の養女を娶っており、二人は縁戚関係であった。

事件が起きたのは寛文11年3月27日のことであった。酒井雅楽頭の陰謀により五名の仙台藩士の謀殺が企てられ、評定の場は雅楽頭江戸屋敷に変更された。

控え室で幕府尋問を待つ仙台藩重臣。左から原田甲斐、古内志摩、伊達安芸、柴田外記。

屋敷の間取りを広げ、仙台藩士五名殺害の計略を練る幕府の侍。

気づかれないように摺り足で廊下を伝い、控え室に向かう幕府側の侍たち。
実は酒井屋敷の侍、中黒達弥(酒井屋敷での偽名:黒田玄四郎)は原田甲斐の送り込んだ間者(スパイ的な意図を含んだ家臣)であった。

彼はこの日の異常な気配を未然に察知し、廊下で「伊達のかた、謀殺です!」と大声で騒いだが控え室には達せず、斬られてしまう。

控え室に乱入する幕府の侍。伊達安芸(右から二人目)は刀を抜こうとするが、その前に斬られ致命傷を負ってしまう。右端が原田甲斐である。
寛文事件を扱った文献の多くは伊達安芸は原田甲斐によって斬られたとされるが、これを真っ向から否定したストーリーとなっている。

これは原田甲斐の斬られる瞬間である。寛文事件を扱った文献の多くによると彼は柴田外記と斬り合って絶命したとされるがこの点も大きく異なるものである。

廊下に出て幕府側侍に刀を抜き、反撃に及ぶ古内志摩。彼は興奮状態となるが居合わせた老中久世大和守が殺陣を止めに入ったため斬られず、唯一の生存者となる。

伊達安芸とともに倒れこむ甲斐だが、絶命する前に居合わせた久世大和守に「甲斐、伊達六十二万石は安堵されたぞ」と告げられる。

ここで甲斐はもはや虫の息となった伊達安芸に告げた。「安芸様、全ては私の乱心により起こしたこと。仙台藩はこれで安泰です」と。

「樅ノ木は残った」の長編小説の読書はもう少しでラストシーンを迎える。これで一段と読書欲が高められそうである。
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