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 Bill Evans Night And Day 

気候もすっかり良くなり仙台でも桜が咲いた。そして今週も週末を迎えた。
きょうの土曜日の午後に私が向かったのはつい先日出会ったカフェ「モン・サン・ルー」である。北仙台駅前をひたすら南に向かう。



私は仙台市北部のマンション街の建ち並ぶ小路を目的地へと向かった。



その小路の名前は堤通である。



ここは北四番町という四車線の広い通りである。この通りは今でこそ広いがきょうお話をする三十数年前のこの通りは非常に狭い一方通行の道であった。
そしてここから800メートルほど直進すると友人が結婚式を挙げた松尾記念館(松尾神社)がある。



カフェ「モン・サン・ルー」に着いた。この奥にとてもカフェがあるとは思えない。ここが隠れ家たる由縁である。



店内に入ってマスターと挨拶を交わす。ややうす暗い店内に安らぎを覚える瞬間である。



かねてからきょうはアルコールメニューを頼もうと決めていた。私がオーダーしたのはラムキャラメルである。



このようにマスターにシェイクして頂いた。なかなかハンサムなマスターである。



そして間もなくラムキャラメルが運ばれてきた。ここで私は三十数年前を偲んでエッセイ創作に及んだ。時刻は二時を廻ったばかり、昼酒である。創作をするにはいい環境が必要である。そういう意味あいでこの店は申し分のない極めて質の高い環境(BGM&カフェ系のアルコールドリンク)を提供してくれるのである。



エッセイ「三十数年前の友人Sの結婚式」

あれは忘れもしない。私が26歳になったばかりの秋のある日のことだった。小学校からの良きライバルでもあり無二の親友でもあったSから「今度結婚することになったから、結婚式と披露宴に是非来てくれ」との連絡があった。私の同級生の中でSが結婚するのは昨年のTに続いて二番目であった。当日、菅生サーキットでどうしても観たいカーレースがあった私だが、もちろんレース観戦よりも彼の結婚式を優先した。

私が彼とクラスメイトになったのは小学校5年、私が石巻から仙台に出てきて二年目のことだった。まさに運命の出会いだった。少年野球で彼はピッチャーで4番、私はファーストで1番だった。サッカーではゴールキーパーのポジションを争う仲だった。私は天性の負けず嫌いゆえ、彼とはスポーツや勝負事においてしょっちゅう火花を散らし、お互いに激しくライバル意識を燃やし続けた。往時は友だちというよりライバルという意識が強かったが、やがてこれはお互い成長するにつれて徐々に友情に変わっていった。

結婚式が行われたのは現仙台市青葉区の北四番町の松尾会館(松尾神社の敷地内にあるマンションビルの一階)であった。当時の若者の流行であったコールドパーマをかけた私は着慣れないスーツを着込みネクタイを締めて披露宴に臨んだ。招待を受けた時刻は確か午後一時頃と記憶している。私はホールで彼の両親に会い、やや緊張した面持ちで挨拶に及んだ。彼の親父さんから「横町さんはまだ結婚の予定はないのですか?」と聞かれた。私は「まだです」とはにかみながら一言だけ答えた。

そうこうしているうちに披露宴が始まった。神前結婚は午前中につつがなく執り行われた模様であった。彼の奥さんとなる人は美人だった。それは単に外見だけのことではなかった。彼女の緊張した表情からはからは「この男を信じて一生の伴侶にしてゆこう」という決意が十分伝わった。これだけで感動ものだった。このような女性ならどんな男でも惚れるのではないか?と思うほど否の打ちようもない花嫁だった。

彼女のお腹には既に新しい生命が宿っているとは事前に聞いてはいたが二人の晴れやかな表情やトークに接するとそんなことはどうでも良いという感じだった。はなむけの言葉は今でもはっきりと覚えている。「末永く幸せな家庭を築いて欲しい」未熟な当時の私にはそんなありきたりの言葉しか思い浮かばなかったのである。

やがて披露宴もたけなわに差し掛かった。今ならカラオケで洋楽でも披露するところであるが当時の私はあまりにもシャイだった。この日の主役の友人は自ら当時流行していたシャネルズの「ランナウェイ」を堂々と歌った。この時、花嫁に向けた『知らぬ世界へ君を連れていってあげるよ』の歌詞が私にはとても羨ましく嫉妬さえ感じた。『確かに仕事も大事だが、人生それだけではない。いつしか彼のように素晴らしい伴侶を見つけたい』式が終わるまで私は彼を羨望の目で見ていた。

無事に式が終わり、子供が生まれるまでの数ヶ月の間、私は彼から一回だけ週末の麻雀に誘われ彼の家庭を訪問した。ややお腹が大きくなりながらもはにかみながら麻雀に加わった新妻の表情が今でも忘れられない。私にはあまりにも眩しすぎる笑顔であった。

それから三十数年が過ぎたが、今でも彼とはたまに電話で対話を交わす。この関係はこれからもどちらかが死ぬまで続くことだろう。彼こそは自我が強く友人が少ない私にとってのかけがえのない親友である。
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