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 Brahms ハンガリー舞曲第6番
    
     エッセイ「3月の二面性」
イギリスの古いことわざに『3月はライオンの如くやってくる』という言葉がある。緯度や海流などの条件は違うもののこれは我が国にも当てはまる言葉なのかもしれない。ハンガリー民謡であるこの曲は寒暖が烈しく、時として冬将軍の台頭を見ながらもあるときは女神のような微笑みをもたらす3月の二面性がよく表れているものである。
 
緩んだと思えば冬に逆戻りする。ややもどかしさを感じなくはないが物事を普遍的に見定めるならば概して好事は一辺に進むものではなく、このような一進一退の傾向を呈しながら徐々に成就していくものである。啓蟄を迎え時節は三寒四温の候、冬将軍と春の女神の攻防は一進一退を演じつつも、時の流れは一時たりとも滞ることなく、着実に春本番に近づいていくのである。わたくしはそんな時節にこの曲を聞くのが好きである。この曲は厳冬に凍え、太陽の温もりを忘れつつある我々に耐えることの尊さを諭し、同時に春到来への希望を燈す曲である。



これは人生とて同じではないだろうか?明けないと思った漆黒の闇夜もいつかは明け必ず明るくなる。ツキに見放されたと思ってもいつかは流れが変わる。但しこれには辛抱が必要になる。暗闇にじっと耐えた者、言い換えれば辛い冬の辛抱に耐えた者のみが春の訪れとそのありがたみを享受できるのだ。
 
物事は両極を知って初めて道理を悟ったと言える。冬の厳しさを知ってこそ、初めて春の尊さを知り得るのだ。何事も投げ出してはいけない。辛抱すれば必ず道は開ける。私はこの気持ちをけして忘れずに今後の人生を歩みたいと思う。そしてきょうまで生かされた尊さを噛み締めつつ、今年の春の訪れを心から祝しこれを慶びたいと思う。
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