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歴史講演会「支倉常長の旅、肖像画の謎」
昨日の10月26日(土)仙台市博物館で歴史講演会「支倉常長の旅、肖像画の謎」が午後から開催された。折しも今は慶長遣欧使節団派遣四百周年にあたり特別展が開催されており、この講演会もその一環をになうものである。

参加希望者は往復はがきで申し込み定員は二百名である。私は現在執筆中の歴史小説「金色の九曜紋とともに」のテンションを得て追い風としたい一心でこの講演会を受講した。

定刻の13時半、始めに仙台市博物館の遠藤館長から挨拶、美術史の視点から捉えた講演会は珍しく、慶長使節団を多角的な角度で見るのに非常に貴重なものとの紹介があった。

そして講師は成城大学の石鍋真澄教授である。教授は美術史学を専攻しフィレンツェ大学で教鞭をとり、ローマにも研修に行き、イタリアの美術を研究されているかたである。ローマは欧州に行った支倉が最後に立ち寄りパウロ5世と謁見した場所なので支倉の肖像と大きな接点がある。

この絵は先例を受けた支倉常長が持ち帰ったものでつい最近ユネスコ遺産に登録されたのもであるが、作者はフランスの宮廷画家のクロード・デュリエという画家によってローマで描かれたもので、十字架を前にしてロザリオを手に提げていることから非常に特殊な肖像画(貴人など一部の人のキリストに対する敬虔さを表した意味の深いもの)で支倉が全身全霊をもって帰依した姿であるとのことであった。

一方、この有名なローマの肖像画の作者はアルキータ・リッチでローマ入市式の晴れの衣装(伊達政宗から支倉が渡されたと思われる)を着た支倉を描いたもので、支倉の接待役を務めたボルケーゼ家の所有であり、支倉が犬をそばに置き刀の鞘に触るポーズもとっており、典型的な貴人の絵とのことであった。また黒船に伊達家の家紋や支倉家の家紋、萬意像が見られ説明的な意味も含まれる絵とのことである。

この壁画はアゴスティーノタッシによって描かれたもので肘をついた支倉とルイス・ソテロ、支倉の部下と見られる仙台藩士のものと思われる。この絵を含め、これらの三枚の絵は支倉がローマで受けた格別の待遇を物語っている。

これが上の絵の説明書きである。ここまでで講演会についての記事は終わりである。

これは支倉が謁見を果たしたスペイン国王のフェリペ3世の肖像で今回の特別展に展示されているものである。国王らしい上品で端正な目鼻立ちである。

これはフェリペ3世の鎧である。なにかフェンシングの防具の形状と似ているが実物はものすごい迫力(中指の継ぎ合わせだけで11の金属の節で作られており極めて精巧な造り)でため息が出るほど。
 
暗めの展示室にまるで王の魂を有するが如く飾られていた。針を点くほどの隙間もなく、まさに往時のスペイン国王の絶大な権力を示す鎧と言える。特別展は時間がなくてとても見きれなかったので後日再び足を運ぶつもりである。

博物館を夕方出て私が向かったのは以前バイクで行ったことのある青葉通り(仙台駅と仙台城を結んだ仙台の目抜き通り)にあるカフェ「わでぃはるふぁ」である。

きょうはアルコールを飲みたかったが敢えてあまりにもフェリペ3世の鎧の余韻が大きく、このような洋風の店に入った次第である。マスターは中南米に何度も足を運んでおられるインターナショナルなかたで初対面ながら会話も弾んだ。

ただし酒は伊達藩のことを考え地酒の「一の蔵」の燗である。

燗酒を二杯頂いた後で仕上げにこのアルゼンチンマテ茶を頂いた。
味は苦味があってまるで煙管の液体版といった感じである(笑)

支倉の肖像画やフェリペ3世の鎧を見た興奮冷めやらず、歴史小説執筆への大きな追い風を肌で感じた週末であった。
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コメント

No title

こんばんは。
支倉常長の頬杖を付いて、リラックスして
いるらしい様子で異国の人達と談笑している絵が
新鮮です。
この様な絵を紹介しながらの講演会は興味が
沸きそうです。
いつも、ミックさんの探究心に感心しています。

URL | と記ど記に記 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

joeyrockさん、きょうは出航四百周年当日になります。
きょうは記念パーティーが開かれますが、このようなイベントが目白押しです。
これが震災復興の景気づけに繋がればと祈念しております。
ローマでの肖像画ですが支倉にこのような着物を持たせた政宗の計らいを強く感じます。
暗闇に浮かび上がるフェリペⅢ世の鎧はその存在に圧倒されます。
この特別展はとても一度に見切れるボリュームでないのでもう一度足を運ぶつもりです。
コメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

とっちゃん、この一の蔵は¥350でお買い得なドリンクですね。
店の雰囲気もいいのでお勧めします。
伊達政宗の世界観…今私がどっぷりとはまっているそのものですが奥が深くて一言では表せないですが、しいて言えば強かということになりましょうか…
今、長部日出雄氏の「密使支倉常長」を読んでますが今東光や遠藤周作とはまた異なった見方をしていますね。
私の場合は伊達者という当事者の視点から使節団を捉えた作品にしようと思っています。
コメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

クリオネさん、仙台城や博物館は仙台観光に訪れたかたのほとんどが来られますが、この辺りに近いカフェとしてはダントツの存在を誇るのがこの「わでぃはるふぁ」です。
アルゼンチンマテ茶は超苦いですのが体に良さそうです。
仙台にいらした時は是非いらしてみてください。
コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

アアイアウさん、このリラックスした支倉の取り巻きは実は仙台藩士で彼の家来の者で向かい合っているのが宣教師のルイス・ソテロです。
他の二つと比べて構えてなく彼の別な一面が見出せる極めて貴重な絵であると思います。
コメント、感想を頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こういう講演会のあと、ちょっと立ち寄った粋なお店、素敵な半日を過ごされましたね!

ミックさんは、伊達政宗・歴史・仙台がお好きなのですね。これからも奥の深いこの道を楽しんで下さい。

URL | 行雲流水 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミック様へ
今執筆中小説にピッタリの講演会であったわけですね。そしてその余韻に浸る。その酒は地酒。正に伊達ものですね。所でこのお茶はこのストローの様な物で吸うようにして飲むのですか。すみません、関係の無い事に食いついています(笑)。初めて見るものです。興味津々。ナイスです。有難うございます。

URL | 不あがり ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんにちは

いろいろ目を見張るお写真ばかりですが
その中でも 伊達正宗が支倉に持たせた 羽織 袴の美しさに感動します。
明るくて 美しく 品がありますね。正宗の想いが伝わってきますね。

URL | つや姫日記 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんばんは^^

支倉常長さんの画が多く残されてることに、驚きます。
この時代、人物像や肖像画は数少ないと思われますよ。
そういう意味で、素晴らしいですね~^^
そして、この時代のフェリペ3世の画も、綺麗な顔をしてらっしゃいますね!
今日も素晴らしい作品を沢山見せて頂き、ありがとうございました。
ナイスhttps://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_s325.gif">

URL | Rain ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんばんは

今日は支倉常長が月浦から出航した記念の日ですね。
母国から遠く離れ責任を果たすことが彼の生き甲斐にもなっていたことでしょう。
元は仏教であったかと思いますが、ソテロからの影響やフェリペ3世そしてローマへの忠誠心からでしょうか…
人が宗教を変えるのは決心が要ることです。長い船旅に加え精神も変えなければいけない苦悩が常長にはあったのかとも思いました。
暫く待ったフェリペ3世の返事が彼の不安を大きくし
海外での慣れない生活に戸惑ったでしょうね。

ミックさん、一息ついたカフェはのんびりできましたか~。講演会では良い時間が過ごせましたね~
私も歴史に興味を持とうかと思います。ナイス☆

URL | ミント ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

行雲流水さん、歴史の一断片に興味を持ち、これを掘り下げていく間にいつの間にかその興味が広角的に広がってゆく。今はその過程を楽しませて頂いております。
そして得た感動を忘れないためにブログに残す、これが張り合いに繋がっているように思います。
激励のコメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

不あがりさん、昨夜は郷里石巻にて出航四百周年記念パーティーに参加して参りました。
大きな400THという数字の区切りを迎え、今の石巻、仙台はこういった催しが目白押しとなっております。
アルゼンチンマテ茶の苦味は南米大陸へのエキゾチックな思い、民族に秘められた情熱の心を更に彷彿し助長させます。
また地酒「一ノ蔵」には政宗公への熱い思いを託しました。
コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

つや姫さん、おっしゃるように鹿と薄の柄に九曜紋は華麗な伊達衣装を代表するものであり、この支倉の着物には政宗のただならぬ心意気がひしひしと伝わって参ります。
このような服装を評価して頂き伊達者として感謝に堪えません。
大変嬉しいコメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

Rainさん、キリストに祈りを捧げる支倉はユネスコ登録されたばかりですが、この講演会に出席し、改めてその意義の深さを思い知った気が致します。
フェリペⅢ世の肖像には気品が漂い、大国の王に相応しい威厳を感じました。
コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

この時代にヨーロッパに向かった使節団
の方達の苦労は大変なものだったでしょうね。
言葉の壁は今以上に高かったと思うし
全く未知の国ですもの。。。
そんな中残されてる支倉常長の肖像画は
穏やかな、ちょっとドヤ顔っぽい表情が
印象的です。
昔ながらのカフェ(喫茶店)が懐かしいですね。

URL | まゆ ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミントさん、昨夜は郷里石巻にて出航四百周年記念パーティーに参加して最終電車で戻って参りました。
支倉は武士であり主君の命が全てである。これを考えると彼が改宗に及んだ道理がわかります。
それほどに彼は一途でなかったのでないでしょうか。侍としての生き方を貫いたのではないでしょうか。
支倉は類稀なる責任感と強靭な精神力でこの難行に立ち向かい、ローマで貴族に列せられたのです。ここに大きな感動を感じます。
政宗のこの海外派遣事業を世界史的な視野で捉えれば貿易交渉に失敗したと言えるわけですが、私は一方で国際親善に大きな功績があったという評価をしたいと思います。
フェリペⅢ世の脳裏には当時ライバルだったイギリスやオランダのことがよぎったのではないでしょうか?
様々な人物の思惑を考える時、この事業は極めて複雑なものが潜んでいることに気づきます。
大町はかつて伊達の大名屋敷があったところです。カフェではドリンクを頂きながら、壮大な歴史ロマンがもたらす心地よい余韻に存分に浸ってきました。(笑)
コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

まゆさん、使節団の通訳は宣教師のルイス・ソテロが勤めましたが、彼は野望を抱いた策士であったとされ、相当曲折や付け足し、装飾があったようです。
それだけ多くの男の野望と駆け引きがひしめいていた派遣だったのではないでしょうか?
このカフェは確かにレトロっぽいところが魅力で、落ち着くところがいいですね。
コメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミックさん、こんにちは。

歴史講演会があるのですね、好きな方は溜まらない
催しですね。
それにしてもその時代の絵が残っているとは驚きですね。

ナイス!です。

URL | 好日写真 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

仙台の博物館、、立派な建物なんですね。

遡る事400年ですか~!
そんなに前のお話、、と思わせないくらいな立派な肖像がですね。
わんちゃんも凛々しく描かれています^^

こんな素晴らしいお話を聞かれたあとの
ちょっぴり苦い?
マテ茶はさぞ格別だったでしょうね♪

URL | sabrina ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

サブリナさん、このわんちゃんですが実は石鍋真澄教授によりますと「主人に忠誠を誓う」という意味づけ(支倉が政宗に誓った忠誠)があるそうです。
マテ茶は酔い醒ましでしたがかなり効きましたね。
でもまた行きたくなるような衝動に駆られます。
コメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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