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 シャーロックホームズの冒険 赤毛連盟 
 
シャーロックホームズの冒険「赤毛連盟」あらすじ(1891年8月ストランド誌発表)
 1887年10月末のある日のことだった。ベーカー街を燃えるような赤毛の太ったウィルスンと言う中年の質屋が訪れそこに偶然ワトソンが来そして二人一緒に質屋の話を聞


ウィルスンが言うには
昨今の好景気のため、本来の質屋のほうの業績はさっぱりだというそんな彼の質屋にある日半額の報酬で働きたいというビンセントという男が来た。欲の深いウィルスンはビンセントを従業員として雇うことにしたビンセントは気が利いていた彼は写真マニアのため、地下室に入りびたりであった
 
そんなビンセントある日耳寄りな話を持ってくるビンセントが持ってきた新聞広告に「赤毛求む。軽微な仕事に週給4ポンド」とあった。赤毛連盟とはある基金を基に設立された連盟で赤毛の21歳以上の男子がこの雇用の対象という非常に風変わりなものであった。



現在価値にすれば、週給で約10万円くらいである
※ウィルスンの持ち込んだ新聞広告を読み上げるワトソン



このうまい話を知った質屋店員とともに赤毛を募集している事務所に向かった事務所の前は大変な行列ができていた。しかし、質屋は並み居る赤毛を押しのけて採用さる運びとなった
※赤毛の男たちでごった返す面接会場



※赤毛の面接官ダンカンロス(左)にその場で採用を告げられるウィルスン(笑)



ウィルソンに課された仕事は、赤毛連盟の事務所で、毎日10時から14時までの間、弁当持参でブリタニカ百科事典をAの項目から、転記するだけであった。しかも、店員がいるので質屋は留守にできるし仕事が忙しくなる夕方には戻れるので願ってもない仕事であった



動画版
※時間の無い方は2分以降を見て頂きたい。


ウィルソンがなぜホームズのもとを訪れたかと言と、今朝仕事場に行ったところ、突然赤毛連盟は解散したとの張り紙があったという
※もぬけの殻となった赤毛連盟の事務所の前に呆然と立ち尽くすウィルスン(ストランド誌挿絵より)



ビルの大家から転居先を聞き出し駆けつけた彼を待っていたのは赤毛連盟とはまったく関係のないバンケットという膝宛工場であった。ここでワトソンとホームズは堪えきれずに声を立てて笑った。
※まるで喜劇??必死になって笑いを堪えるジョン・ワトソンだがこのあと堪えきれずに笑い出してしまう。



※ついに堪えきれずに笑い出すホームズ、クールで喜怒哀楽をめったに顔に出さないだけにインパクト大である。



するとウィルスンは「笑うなら他に行きます」と顔を真っ赤にして怒った。
※二人に笑われて激高するウィルスン



ホームズは「失礼、こんな変わった案件は二つとないので」と述べこれを止めた。またワトソンは「8週間の間、毎週4ポンド手に入ったしあなたはなにも損をしていない。それとブリタニカ百科事典をAの項目が頭に入ったから逆に喜ぶべきでないのか」と言った
 
 これに対してウィルソンは「それはそうだが、こんな悪さを誰がなんの目的でしでかしたのか知りたいのです。」と腹ただしく述べた。それと彼は最後の週の4ポンドを手にしておらずただ働きとなっていた。
 
 ホームズは、現地の質屋を訪れ。周辺の建物を改めたり、ステッキで地面を叩いたりした。このあたりで、彼はこのトリックに気づいた。ここでホームズは事件解決への糸口を掴んだらしい。その日はワトソンを誘ってサラサーテのバイオリン演奏を聴きに行くのであった。



赤毛の依頼人のことを忘れ、恍惚の表情でサラサーテのバイオリン演奏に聴き入るホームズ。友人を見守るワトソンの表情が印象的である。これも英国紳士のたしなみである。



そして土曜日の深夜、ホームズとワトソンは、スコットランド・ヤードの屈強な刑事を連れ、銀行家と共に銀行の地下施設に行った彼は待ち伏せし張り込むつもりであったまた外には、万が一に備えて警官を配置し。やがて、くり貫いた床から2人の男が現われ
※見張られているのに気づかず床から現われたビンセントことクレイ



銀行に保管されていた6万フランにも及ぶナポレオン金貨を狙った銀行強盗であった彼らは質屋から銀行までに達するトンネルを掘っていたのであった
          ※警官に取り押さえられるクレイ(ストランド誌挿絵より)



※クレイには王室の血が流れているという。クレイは警官に敬語を使ってもらおうと告げる。
そして警官がこれに応じて「ご同行願います」と述べるとクレイは「よかろう」と返した。
こういう場面でも見られる警官の寛容なる姿勢、このあたりのやり取りは如何にも英国らしい。



そのために、"赤毛連盟"なる架空の組織をつくり、質屋を遠ざけていたのであった。しかし強盗グループの最大の失敗は、最後に払うべき4ポンドをおしんだことであったそのさえ払っていれば、ウィルソンは騒ぎ出すことなく、ホームズが介入する余地はなかったのである。
※事件が解決しウィルスンに今度人を雇うときはまともな給料をと説教するワトソンが笑える。

              
感想
数あるシャーロックホームズシリーズ中でもこれだけ奇怪極まる話はないだろう。出だしがこれだけインパクトのあるものは類を見ないとも言える。たまたまターゲットとなった質屋が燃えるような赤毛であったためにこんな手の込んだことを思いついたのだろうが主犯者はホームズの睨んだ通り、このクレイではなかった。トンネルを掘って銀行泥棒をたくらんだのは陰の暗躍者であるモリアティー教授であり、少しだけ画像にも登場する。本作は原作者のドイルが二番目に素晴らしい出来と評しているだけに彼の自信作とも言える。
 
ストーリーに現実味があるか否かなどはどうでもいい。ごく簡単な仕事でたった4時間の勤務で高収入が得られると聞いただけで誰でも興味を引かれるのではないだろうか?あくまでもフィクションと割り切って読むのがシャーロックホームズシリーズであるが、とにかくユーモアに富んだドイルのサービス精神と型にはまらない想像力には舌を巻くばかりである。またストーリーにまったく関係のないサラサーテのバイオリン鑑賞が出てくるなど、随所に英国文化特有の懐の広さを感じる。
 
私がこの作品を知ったのは小学校五年、同級生の遊び仲間で推理小説好きの者がいたのである。彼の部屋に入ると偕成社の少年少女用の文庫が棚に飾ってあったのである。それから私も影響を受けてシャーロックホームズシリーズを読むようになった。私が最初に読んだのはポプラ社の「火の地獄船」(グロリアスコット号事件)だったと思う。
 
その後シャーロックホームズシリーズを読んでいくうちにストーリー性とは別の魅力(古きよき時代の英国文化の奥深さ)を見出すようになり、最近は以前とはまったく別な視点でこの作品を楽しんでいる。その魅力は昔の英国紳士のフォーマルな服装であったり、古い自転車であったり、家具であったり、楽器であったりする。つまり作品にのめりこむうちに英国文化への畏敬、憧れを持つようになり、その結果広角的な楽しみを見出したのである。 
 
マニアックなシャーロックホームズシリーズでも文句無くTOP3に上げられるほどの秀作中の秀作!
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