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   福島美術館における伊達政宗直筆の書状
 ここ一年ほど前から私は二、三ヶ月に一度楽しみにしていることがある。それは古美術を鑑賞することである。古美術を鑑賞することで心の平穏が得られるのに気づいたのである。きっかけは尊敬している小説家、志賀直哉の影響であるが、最近は古美術関係のブログでお付き合いさせて頂いているかた(ひがにゃんさん、不あがりさん、ことじさん)の影響が大きい。自分はこの分野は初心者でありながらも、古美術に対して多少なりとも的確な意見や感想を述べられないようでは情けないし、申し訳が立たないという気持ちからである。
 
 古美術を展示している小規模の美術館を改めて紹介する。この美術館の名は福島美術館、改めてと述べたのは以前に本ブログで紹介済みであるからである。また読者の皆さんの中には何故仙台市にありながらも福島美術館というのか?と疑問を持つかたも居られるだろう。実は福島とは創始者のかたの名前がつけられているからである。仙台市には他に宮城県美術館という立派な県立美術館があるが、この福島美術館は同じアートでも博物館に近い内容のもの(掛け軸、骨董などの古美術品)を展示している点で性格がまったく異なる。
 
 私はいつものように地下鉄東西線愛宕橋駅で下車し、奥州街道(旧国道4号線)を南に向かった。きょうの土曜日、仙台は天気予報がいいほうに外れてほぼ一日晴れとなった。朝晩はだいぶ涼しくなり日中でも盛夏の時のような蒸し暑さはなく、風通しのいい開襟シャツと夏物のスラックスさえあれば快適な散策が出来る気候となった。太平洋のもたらす海風の恩恵だろうか?30度近い気温でも汗ばんだ状態にならないのがことのほか嬉しい。

 美術館にたどり着くまで5分とかからないのだがその過程が楽しい。その理由は美学者、哲学者であった仙台名誉市民、阿部次郎の旧邸跡を通る故である。この路地の名は誓願寺(せいがんじ)通り。この写真のアングルと逆方向に行くと人一人がやっと通れる道を経て、その名の由来となった寺に着くのである。私は以前に阿部次郎の散歩コースを辿り、これをブログに掲載した経緯もあり、この道が阿部次郎の毎朝の散歩コースであったのはほぼ間違いない。私はそう思うとなにか気分の高揚を感じた。

航空写真できょう私が歩いたコースと愛宕橋駅(黄色)、福島美術館(赤)を確認して頂きたい。

右側の鬱蒼と木々が茂った辺りが旧阿部次郎邸跡地である。

ここが福島美術館である。

常設展のみの展示であったがこのような夏らしい品が展示されていた。これはガマを装飾した青銅製の蚊取り線香入れである。ガマは縁起物でもあるが、やはり日本の夏はこのように風流に過ごしたいものである。

これは仙台藩主伊達政宗の書状のレプリカである。政宗はその生涯で四千通にも上る膨大な書状を書いたとされるが、この書状には果たしてどんなことが書いてあるのだろうか?

書かれたのは安土桃山後期、もちろん原書は候文である。

政宗22歳のころと言えば、近隣武将を攻め奥州南部を破竹の勢いで制覇していったころである。戦に明け暮れていたときに於いても家臣とともに茶の湯を習い、心の平穏を得たと思うところはまさに政宗が文武両道の智将たる所以でないだろうか?

これは同じく政宗が溺愛していた二女に送った直筆の書状(原本)である。これは極めて価値が高い書状と言える。

まさとは政宗のまさのことだろうか?これは近親の者にのみ送った文体であろう。この手紙には肩の凝らないことが書かれているのは想像に難くない。

還暦を迎えた政宗は天下取りの野心も失せ人が丸くなったのだろう。説明を読むと川漁に出かけた政宗が獲った鮎60匹を二女に贈ったことがわかる。まさに政宗の二女への溺愛振りが伺える書状である。
美術館には40分ほど滞在した。そして再び外に出る。思いのほか風が心地よい。この日の過ごしやすい天気が私の好奇心をいい具合に刺激した。きょうは足を伸ばして少し探索してみよう。私は美術館を出ると奥州街道を南へと向かった。道は緩やかな下りとなっている。まだまだ日差しは強いが街路樹の作る木陰が涼をもたらす。ここは石名坂というところである。

心地よい風に誘われて私は広瀬川河畔を歩きたくなった。もはや残暑も去りつつあり、秋も近い感じがする。

 対岸の山は大年寺山、アンテナは仙台放送のものである。この山の麓は茂ヶ崎(もがさき)と呼ばれ何れも仙台の歴史を語るには避けて通れない場所である。あれは幼稚園のころ、私は父とこの辺りでボート遊びに興じた思い出がある。ほんのわずかしかない親父の思い出であるが、ここで成された男同士の付き合いは今でも忘れられない。
 
 親父が漕ぎ出したボートはなんとたちまち河の中央に躍り出たのだ!細身だった親父にこんなに力があるとは…、俺も大きくなって親父のように力強くボートを漕ぎたい!早く親父に追いつきたい!…幼い私はそんな親父を羨望の目で眺めていた。

この日はあまりにも気分がよかったので私は更に河口に向かった。対岸は八本松、郡山というマンション群の立ち並ぶ地区である。

伊達政宗への畏敬の念、亡き親父への回想…、私は昨今、人間にとって趣味余興が大切で掛け替えのないものであることを身に浸みて感じるようになった。だからこそ心の切り替え、けじめの大切さをなによりも重く受け止めている。また気候的には猛暑も去りつつあり、もうすぐ秋が近いこと実感できた。そういう意味できょうは大変異議の深い週末の一日であった。
 Fine!Thanks Good Week End! 
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