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   人は豊かな人生を送るために何が必要か
 衣食住は人間には生きていくのに必要なものである。しかしこれらはあくまで生きるための最低限度のものであり、快適に生きるためにはこれだけでは不十分である。人によってはこの他に金が必要という考えもあるのかもしれない。私はそれを否定しないし、人それぞれの考えも尊重しなければならないと思っている。
 
 しかしここで一歩踏み込み、人が豊かで潤いのある人生を送ることの意義を普遍的に考えるなら、その手掛かりを先人の残した言葉から得るのも一考ではないだろうか?しかもその言葉が自分の尊敬する人物の言葉であるならばその吸収も一層スムーズになるのかもしれない。
 
 私は半年ほど前、冬場の電車通勤をした折に読んだある人物の伝記の中の言葉が昨今非常に気になっていた。その本とは阿川弘之著「志賀直哉」である。阿川氏はその師である志賀直哉のことを一部始終に渡ってこの著物に描いている。その数々の珠玉の中の一小節に書かれていたのが志賀直哉の人生観とも取れる「わが生活信条」である。
 
                    志賀直哉(1883~1971)

 直哉はこの一生節の中で親交の深かった小泉信三の著物「読書雑記」を読み、その中に書かれていたエドワード・グレイの人間の幸福の条件に興味を持ち、自己の人生観との同調を語っている。その条件とは①自分の生活の基準となる思想②よい家族と友人に恵まれること③意義のある仕事④適度な閑(ひま)の4項目である。直哉はこの後に第五の条件として健康を揚げている。
 
 直哉は儒教に関する文献はさほど読まなかったが、幼少時に主に祖父母の人柄から儒教の教えを自然に吸収することが出来たと述べている。また青年期には内村鑑三に傾倒しキリスト教を信仰したが、自我を確立した後はキリスト教を否定しないものの無神論者となっている。直哉はこのような生活を続けて行くうちに自然と落ち着いて自己を客観視できるようになり、やがて若いころに陥った自己嫌悪になることもなくなったとしている。
 
 では直哉がその人生観において共感を呼んだエドワード・グレイと小泉信三とは一体どんな人物だったのか。インターネットで調べてみた。
 
                      エドワード・グレイ(1862年4月26日 - 1933年9月7日)

 イギリスの政治家、鳥類学者。自由党所属。第一次世界大戦開戦時のイギリスの外務大臣。
1862年、ロンドンで生まれる。ウィンチェスター・カレッジからオックスフォード大学ベリオール・カレッジに進むが退学。1882年に祖父のサー・ジョージ・グレイ(第2代グレイ伯の弟)から準男爵位を継ぐ。
 
 1885年、バーウィック・アボン・ツイードから自由党員として当選。1905年からキャンベル=バナマン内閣の外相になり、第1次及び第2次アスキス内閣でもその職を務める。第一次世界大戦開戦時にはイギリスを参戦に導く役割を担う。1916年、ロイド・ジョージ内閣成立に及び辞職。イギリスの外相の最長在任記録(1905-1916年まで11年間)を持つ。
 
 1916年にファラドンのグレイ子爵となり、貴族院へ退く。1919年から1920年まで在アメリカ合衆国イギリス大使
 
         小泉 信三1888年(明治21年)5月4日~1966年(昭和41年)5月11日)

 経済学者。慶應義塾大学塾長を経て、1949年(昭和24年)に、継宮明仁親王(平成天皇)の教育掛(東宮御教育常時参与)に就任。『ジョージ5世伝』や『帝室論』などを講義し、新時代の帝王学を説く。1933年(昭和8年)~1946年(昭和21年)まで慶應義塾長。父は慶應義塾長(1887年(明治20年) - 1890年(明治23年))や、横浜正金銀行支配人などを歴任した小泉信吉。
 
          ミックまとめ
 
 私自身、年をとったせいなのだろうか。少なくても数年前まではこのような考えはさほどなく、ただ楽しく生活できればいいくらいに考えていた。しかし今年の冬この尊敬する作家の掲げる人生訓を読み、大いに共感したのである。この著を読んでから、ここで言う「ひま」と一般的な時間の両者の存在の違いを意識し、この言葉の持つ重要さを特に痛感している。
 
 語感からしても「時間がない」と「閑がない」のでは明らかに違う。仕事や生活において時間はないと困るものであるが、閑はあってもなくてもさほど関係ないことなのかも知れない。しかし豊かで潤いのある生活を送るには閑は無くてはならないのである。私はこの微妙な言葉の違いを表したエドワード・グレイの四つの言葉を改めて踏まえるとともにこの言葉に目を向けた二人の偉大な先人に心より敬意を表したい。
 
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