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  あのころの面影は果たして見つかるのか?
 去る1月4日のことである。私は年始休暇を利用して三十数年前に自分が改修工事を担当した大正時代の国鉄の官舎の建物の面影を探しに仙台市宮城野区の陸前原ノ町駅を電車で訪ねた。陸前原ノ町駅は仙台と石巻を結ぶ仙石線の仙台から数えて三つ目の駅である。

この日は年末休み中とあって電車はガラ空きである。ここで注目してもらいたいのは電車の向うに見える明かりである。
実は青葉通り駅からここまで地下を走って来た電車がこの駅を出たところで地上に出るのだ。

ステンレスの手すりの付いたタイル仕上げの階段室を通って地上へと向かう。

これが新しい駅舎の改札口である。

陸前原ノ町駅の名前の由来である。原町とは古くはこの辺から海の辺りまでの一帯に及ぶ非常に広い地域の地名で、辺り一面原っぱ(実際は湿地もあり)ということが起源と言われている。

 さて前回も紹介した通り、私が工事を担当した国鉄の官舎はとうの昔に取り壊されて面影すらないので、せめて昔の駅舎の写真だけでもと思い、インターネットで検索をかけてみた。その結果1、2枚がヒットしたので掲載する。
 
 写真に写っている車の年式から判断して年のころは89年から91年ころに撮影されたものと推定される。よって私が工事をしてから10年以上経過してから撮影されたもののようである。官舎はこの写真から左に50~70メートルほど行った辺りだったと記憶している。
 
おそらくこのころは官舎はまだ取り壊されていなかったのではないだろうか。
 
※当時の自分のてがけた仕事について綴った私小説、「私の駆出し時代」へのリンクhttp://blogs.yahoo.co.jp/bgytw146/31397247.html

次に今の駅前で撮影した写真に当時の官舎の概ねの位置を描いてみた。赤い線が推定場所である。
右側の道路の位置は当時と変わっていないので現在の駅舎は旧駅舎よりもより奥(左)に後退しているような気がする。

かなりマニアックなものとなると思われるがあえて航空写真で紹介する。位置関係を確認して頂きたい。ピンク:現陸前原ノ町駅舎、赤:官舎の位置(推定)、緑:旧原町通り(仙塩街道)、青:歩道橋、黄色:津田ビル、オレンジ:昭和のころのモルタル木造の建物

今度は駅舎側から官舎跡地を見てみた。旧国鉄の官舎はおそらくこの辺にあったはずだ。

航空写真で紹介した歩道橋に上がって官舎側を望んでみたが見知らぬビルが立ちふさがっていた。改修工事を行った昭和50年代半ばにはなかったビルである。
三十数年という時の流れはやはり多くのものを変えているようだ。
やはり面影は見つからないのだろうか…;

歩道橋に上がったついでに原町の旧道(藩政時代からのもの)が新国道45銭にV字状に交わるところを撮影してみた。新旧の道の合流は歴史を感じさせるもので非常に面白いビューである。

同じく歩道橋から北のほうを撮ってみた。放送局のアンテナの左側が仙台ガス局、その先は鶴ヶ谷団地方面である。この道路沿い(右側)には昭和のころと思われる建物が少し見られた。

 これは番外編として見て頂きたい。番外編というのは官舎から少し離れており、かつこの辺りで一番古そうな建物と見られるからである。さっきの航空写真で言えば右端の辺りである。
 中央奥の家がそれであるが、この建物は今まで手前に別な建物が建っていてけして通りから見えなかったのである。手前の土が窪んでいるのを察するとこの手前の建物は震災で傷んで解体したのだろうか?

もう一度官舎のほうに向ってみた。今度は官舎の前の路地を通ってみた。
日ごろ路地裏に哀愁を感じる私だが、その路地沿いにかつて自分が手がけた思い入れのある建物が建っていたとなればその思いはひとしおである。
時を経てして初めてわかる自分の未熟さ、自分しか知らない苦労、経験から得た教訓…
これは言葉ではけして言い表せない複雑な心情と言えるものなのかも知れない。

航空写真で紹介した津田ビルである。これはサッシが鉄製なので間違えなく昭和30年代後半ころに作られたようだ。(私が担当した官舎は右に50メートル行った辺り)
 
1階には焼き肉屋のテナント(現役と見られる)が入っているようであった。
年始ということでこのまだ店はやってないようだが、なにか往時を偲ぶものがありそうな店でありこのビル自体が昭和の哀愁を帯びた建物であった。
この日は時折木枯しの吹きすさぶ寒い日だったが、この建物を見つけた時はなにか心がホッとするのを感じた。

これは津田ビルの斜め向かいのモルタルの住宅(地図参照)である。
この建物も国鉄官舎が現存した当時の生き証人と見られる。

結果として官舎自体の面影は何もなかったが周囲の古い建物を見る時、往時の状況を思い出すことができ大変懐かしさを感じた探索であった。
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コメント

No title

建築や土木は、その作品が息子みたいな感じです。

今でも近くに行けば、ちょっと遠回りしても、自分の息子達を見ています!

URL | yuji ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

yujiさん、先日貴ブログの「自分新聞」拝見しました。
お孫さんの誕生おめでとうございます。

この古い官舎は既に解体されてしまい残念ですが、自分の作品を見るのはうれしいですね。
これで往時の苦労も少しは報われるのかも知れません。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

既に建物が無くなってしまったのは残念ですが
その場所に実際行かれて見ることで色々な事を思い出されたと思います。
街並みの中に少しでも面影を感じられる場所があって良かったですね。
時代の流れと共に消えてしまう物もありますが
その時の想いは消えない物だと感じます。

URL | joeyrock ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミックさんは建築関係なんですねー私はSEです~ 確かに自分が過去に手がけたブツ(私の場合はシステムですね)は懐かしいものですね。でもこの世界は入れ替わり激しい・・・

URL | 心印 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

懐かしい原ノ町駅の写真ですねぇ~!!https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_a287.gif">
坂下交差点の歩道橋からの眺めはこんな感じでしたか・・・ちんちん電車の幻が、、、https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_a461.gif">

URL | M.ROSSO ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

joeyrockさん、この辺は特に景観が変わった場所ですね。
こんな中でも昭和の生き残りを見つけた時はホッとしますね。
NHKのぶらタモリに似た感じになりましたが自分なりに納得した探索でした。
建物も存在しなければ、発注者の国鉄も今はない。
とかくこういう思いは自分だけの世界に留まり、やがて闇に葬られるものですが、この日はあえてそこに踏み込みメスを入れて見ました。
こういう回想の仕方はこれからもやってみたいと思います。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

心印さん、自分の作ったものを使って頂き人の世の役に立つ、或いは後世に残すのは仕事冥利であり素晴らしいことですね。
心印さんのお仕事にもそれを感じます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ロッソさん、そうです。
ここは路面電車の終点があった場所で仙台の市街地の東端となった地域です。
坂下交差点でこの旧道(仙塩街道)がどうなっていたのかは気になりますね。
これを扱ったブログもあるようですが、詳しくは郷土史の文献を調べるしかないのでしょうね。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

お仕事がら、いろんなところに足跡があるのではないでしょうか、それを訪ねるというのは、楽しいだろうと思います。また他のところを紹介して下さいね。
小生は「商売の世界」におりましたので、そのような事はありませんが、比較的人さまとの出会いが多かったのが特徴でしょうかね。

URL | 行雲流水 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミックさん、こんにちは。

自分が手掛けた仕事が残っている、素晴らしいです。
後で、見て回れるのもとても、素晴らしい事ですね

ナイス、です。

URL | 好日写真 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

行雲流水さん、昔のご自身の仕事によく思いを馳せることがあるのでしょうね。
私は自分の作った建物の前を通るときに往時を思い起こします。
どうせならこの官舎の写真を撮っておくべきでしたね。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

好日写真さん、今回は残念ながらその建物は残っていませんでした。
代わりに周囲の古い建物を撮ってきました。
それでも懐かしいですね。
ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

いろいろ自分が手がけた物を、後から見て回れる…。。。いい職業にたずさわっておられたのですね…。。。

URL | boubou ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

boubouさん、以前、仙台合同庁舎を紹介していますので今回で2例目となります。
やはりこの大正時代の官舎の写真は今では珍しいので撮っておくべきでしたね。
他の建物も気になります。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんばんは。
駆け出しの頃の仕事はよく記憶に残っていますね。辛い思い出が多く、今でもその近くを通ると腹痛に見舞われます(笑)。
若い頃は精神も仕事も未熟でした。ただ、当時はその事に気が付きませんでした。ひょっとしたら今の自分の姿さえも、未来の自分から見たら、まだまだ未熟な存在かもしれません。
この世界に入り、ニ十年近くになりましたが、まさに初心忘るべからず、そう感じます。

URL | ひがにゃん ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ひがにゃんさん、この日はわたくしめの若かりし駆け出し時代ころの回想から来る懐かしさ、そしてほろ苦さを感じて参りました。
わずかに残った昭和の建物からその名残を感じ取ろうと試みたのです。
その建物を見つけた時は本当に懐かしく安堵を感じました。
人間いくつになっても自分の未熟を認める顕著さは大切ですね。
初心を忘れることなく今後も精進したいと思います。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

おひさしぶりです。
自分の仕事が形として残るのはいいもんですね。
30年前の己に会える旅、正に心の旅ですね。

URL | ぱらまた ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ぱらまたさん、ご無沙汰しておりました。
この日は過去の自分は一体なんだったのかを問い、探ってみました。
三十数年前、夢中で納めた仕事で当時はがむしゃらでしたがやっと客観視できるようになりました。
このような回想は今後もっとしてみたいですね。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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