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   晩秋の三太郎の小径で瞑想する
 仙台市青葉区川内に東北大学教授で哲学者、阿部次郎にちなんだ散歩道がある。
その名は三太郎の小径(こみち)、同氏の青春の著と言われた「三太郎日記」にちなんでつけられた道である。私は先週の土曜日にここを訪れた。
 
※航空写真で確認して頂きたい。赤い線が「三太郎の小径」である。
ご覧の通り、位置的には仙台城のほぼ北に当たる。
ここが三太郎の小径のスタートである。ちなみにこの散歩道は阿部次郎が直接歩いたコースとは離れてはいるものの、没後に散歩好きだった彼にちなみ東北大学によって造られた記念的な小径である。

赤い屋根の建物は弓道部の部室であるがこ、こにも三太郎の小径の立て札が立っている。

三太郎の小径を拡大した航空写真でご覧頂きたい。東北大学百周年記念館(旧川内記念講堂)の周囲をアルファベットのC字状に囲んでいるのがおわかり頂けると思う。
A地点:三太郎の小径入口、B地点:現在地

C地点での撮影。三太郎の小径の特徴はこのような巨木が多いことである。
小鳥のさえずりが聞こえる。この辺に多い雑木林である。
今なお葉をつけた針葉樹も多く鬱蒼とした枝葉から心地良い木漏れ日が差す。
この対比が人生の明と暗を演出し、私を感傷へといざなう。
 
大木や落ち葉に自分の歩んできた人生を重ね合わせるのもいいだろう。
太古の昔から人はこのような営みを永遠に繰り返しているのだろう。
道はご覧の通り落ち葉の絨毯が敷き詰められており、晩秋特有の温もりとさびの不思議な調和さえ感じさせる。

D地点、一見なんの変哲もない窪地、または沢に見えるが…

 実は窪地に見えるこの場所は昔仙台城の一般諸子の通用口になっていて扇状になっていたことから「扇坂」と言われていたようである。この坂はそれらしき跡が確認できたが、勘定所跡については何も残っておらずはっきりと認識できなかった。
 
 扇坂のことは私も初めて知った。家臣はてっきり正門を通って入城していたとばかり思っていたのでこのことは意外だった。私はこの坂の前で目をつぶり当時にタイムスリップを試みた。すると、ちょんまげを結い二本刀を差した侍が神妙な面持ちで坂を駆け上がる姿が瞼に浮かんだ。

藩政時代(文久2年)の仙台の鳥瞰図をご覧頂きたい。赤い□の部分が扇坂の辺りである。

扇坂付近から見た現在の仙台、正面に見える建物が仙台国際センターである。

E地点、ほぼ正面が脇櫓の辺りである。石畳の小径はもう少し続いているようだ。

下の道路までは20メートル近くはあろうか?城の石垣がわずかに見えるがここは下層の城壁の上部に当たるところである。

F地点:小径もそろそろ終わりに近づいた。
赤く色づいたモミジが過ぎゆく晩秋を惜しむかのように目に写った。

正面に見える銅像は支倉常長像(佐藤忠良作)である。

歩道と車道の間に阿部次郎記念の道と描いてあったのが印象的であった。
この道を歩みながら彼の生前を偲ぶのもいいだろう。
また往年の彼がよくそうしたように瞑想にふけるのもいいだろう。

G地点:ここはもう小径と呼ばないのかも知れない。
だが今までの蛇行した道と違い解放感があった。
散歩の仕上げとしてこの並木道を歩くのもいい。

晩秋の好日、歴史の香りを感じながらの散策であった。
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コメント

No title

仙台市は歴史を大切にするところですね。「三太郎の小径」の標識を設置して、粋な計らいだな、と感じます。

URL | 行雲流水 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

三太郎日記は読んだことがありませんが
それにちなんで作られた小径なのですね。
青春のバイブル的な本のようなので、読まれた方は尚、楽しめる場所だと思います。
地元にゆかりのある方を大切にされているような素敵なコースですね('∀`)
紅葉の終わりを感じながら歴史を感じられる散歩。
素敵な場所だと思いました♪

URL | joeyrock ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

おはようございます。
すっかり晩秋ですね。静かで趣ある小径ですね。当時の武士もこのような景色を見ながら登城したのでしょうか?
今回も素晴らしい散策でした。ミック様も当時の藩士の気分になったのてはないかと想像します。

URL | ひがにゃん ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

行雲流水さん、この日は新たな発見がありました。
ここを歩きながら阿部次郎の生前を偲ぶのもいいのかも知れません。
またこの扇坂から一般諸士が登城したとは思いませんでした。
新たな仙台の隠れスポットを見つけました。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

joeyrockさん、生前の阿部次郎の散歩コースは以前紹介した通りですが、この小径は東北大の構内にメモリアルとして作られました。

実は私も三太郎日記を読んでいません。
文学に親しむ時、作品から作者に興味を持つケースと作者に興味を持ってから作品を読む二つのパターンが存在しますが、私は後者を選択したいと思います。
市内の米ヶ袋の彼の記念館(ブログで紹介済み)を訪れ、人となりは把握しましたが、学問に対しての彼の真摯でひたむきな姿勢に感銘し、作品を通じて改めて彼の足跡に迫ってみようと思いました。

館のかたによりますと壮年の時に書いたエッセイもお勧めとのことでした。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

なぜ!?三太郎の小径???と言うのか知りませんでした!!https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_a459.gif">
自転車用語で「こみち」と読まず「しょうけい」と言うので・・・https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_a814.gif">
以前、仙台七坂の一つの「扇坂」を調べに散策したことがありましたので・・・https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_a454.gif">

URL | M.ROSSO ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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ひがにゃんさん、瞼に浮かんだ侍のりりしい登城の様子、ここには仙台藩の歴史と面影がが色濃く残っていました。

昨日の文では感動を十分お伝えできなかったかも知れません。
今朝、若干の手直しを加え、私情を入れエッセイ風にしてみました。
宜しければご覧ください。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ロッソさん、仙台七坂に俄然興味が沸いてきました。
坂にはなぜか昔人の様々な思いが込められているようで不思議なものを感じます。
耳寄りな情報を頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミックさん、こんにちは。

哲学者、阿部次郎先生の事はわかりませんが、生前歩いた小径が今に残っているのですね。

ナイス!です。

URL | 好日写真 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

好日写真さん、記事に書いた通り阿部次郎はこのコースを歩いたわけではありません。
この小径はメモリアルコース(記念的な意味合い)とお取りください。
実際歩いたコースは既に掲載済みです。
宜しければ本ブログの書庫の「仙台平野探検隊」の2012年9月8日投稿の記事をご覧ください。
そのルートと現在の写真を地図を交えながら詳細に渡って掲載しております。

ナイスを頂きありがとうございあます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんばんは。

いつも仙台の歴史漂う場所のご案内を有り難うございます。

ここら辺は良く通るのに知りませんでした。
今度、歩いてみようかなぁ~!と思います。春も自然がいっぱいで楽しそうです。植物園も広くて良いところでした~

ミックさんも哲学者みたいですよ…(~o~)ナイス

URL | ミント ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

「三太郎の小径」って名前、なんだかいいですね。
「三太郎日記」って、確か哲学的思いを述べている人生論
みたいな本ですよね。
長い間多くの青年に青春のバイブルとして読まれたらしい
ですが、私には難し過ぎてわかりません。
人生について考えながら散歩しているミックさんの姿が
見えるようです。

URL | yoko ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミントさん、灯台元暗しという言葉がありますが、間近なところにも隠れポイントは多いと思います。
今回の散策は以前の彼の散歩コースとセットという意味で掲載しました。
この辺りは仙台城の名残(坂、壕)が多く興味をひかれます。

実はこの日、直後に植物園にも足を運びました。
まさかこの植物園の中に旧道があったとは!
この模様は後ほどブログでお伝えしたいと思います。

ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

yokoさん、私も三太郎の日記は読んでいません。
阿部次郎には地元の河北新報発行の文学のガイド本を通じて興味を持ちました。
本ブログの書庫の「仙台平野探検隊」の2012年9月8日投稿の記事には阿部次郎記念館を始め、彼が日課としていた散歩コースを解説を交えて掲載しました。

阿部次郎記念館のかたの話によると彼の三太郎日記は若かりしころの作品だけにやや背伸びした面も見受けられるとのことでしたが、熟年のころに執筆したエッセイも別な面で読みごたえがあると話していました。

私も機会があれば読みたいと思っています。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんにちは。
落葉散り敷くしっとりとした散歩道をご一緒させて頂いた気分になりました。
有り難うございます。
京都には京大教授であった西田幾多郎氏の散歩道、「哲学の道」がありますが今は桜の名所ともなって四季を通じて人で賑わい、哲学とは程遠い雰囲気になってしまってます。
歴史の足跡の残し方、難しいですね。
お城の名残と哲学者の足跡を同時の残す小路にMN!

URL | はぐれ雲 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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ロッソさん、情報提供ありがとうございます。
後ほど伺わせて頂きます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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はぐれ雲さん、西田幾多郎氏の情報をありがとうございます。
今ネットで調べましたが1870年生まれで阿部次郎より更に前の年代のかたですね。
仏教と儒教の融合した理論に興味を持ちました。
彼の哲学もきっと多くの思想家に影響を与えたのではないでしょうか。

多くの哲学者は思想をはぐくむのに散歩をしたようですね。
この日は知られざる仙台の歴史にも触れて有意義なひと時を過ごせました。
MNありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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