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   208年前に造られた仙台市西部の建物
 ここは仙台市西部の中島丁という一方通行の横丁である。通りの方角は広瀬川の対岸の川内というところで東北大キャンパスを始め学校が多く、仙台の文京地区となっている。

廻れ右をして、中島丁を少し進むとひと目で非常に古そうな建物が私の視界に入った。

航空写真で位置を確認して頂きたい。赤□がこの建物(八幡杜の館)、黄色の線が元この建物のあった場所のあたりである。

建物の正面に廻ってみた。まぎれもなく江戸時代の建物のようである。

 航空写真でお気づきの通り、この建物は200メートルほど北西にあったものを一度解体し移設していた点が悔やまれる点である。
 
 天賞酒造は昨年の震災の後、つぶれてその銘柄を他の店に譲渡していたが、以前には仙台市都市景観賞を受賞していた。

これは表通りの国道48号線(作並街道)沿いに建っていたころの外観で賞をもらった当時のものである。

中島丁公園(旧天賞苑)側から建物を見てみた。庭石の景観が素晴らしい。

これは天賞酒造の屋号と思われる。

中庭にはイチョウやモミジの紅葉も見られ、日本庭園の良さを見せてくれる。

住宅地の中に日本庭園が存在するのは嬉しいことで、思わず心のやすらぎを求めたくなる。

建物に入ってみた。この時は何やら展示会の最中であった。

一部吹き抜け、一部中二階というレイアウトとなっていた。

古い日本家屋の小屋組にはこのように曲がった梁が使われているのが特徴である。

窓からは錦色の織りなす見事な中庭の紅葉を望むことができる。

建物の見学を終え、表通り(国道48号線)に向うため中島丁を北に向かった。
このようにS字カーブは旧道に多く見られるパターンである。

天賞酒造跡地はこのように大きなショッピングモールに生まれ変わっていた。
確かに便利にはなったが、通りからまた一つ趣のある建物が消え少し寂しい気もする。

先に掲載した挿絵と比較して欲しい。
今ではこの門だけが往時を偲ぶものとなってしまった。

この建物はもちろん酒造の繁栄を支えてきたのだろうが、天保の飢饉も目撃してきたことだろう。もちろん人々の喜怒哀楽も見てきた。
 
そして200年が過ぎた。人間社会の興隆と衰退は繰り返すと言われるが、なんという因果だろう…
 
江戸時代からつい最近まで造り酒屋として栄えたこの地は、昨今この地区の一大商店街として再び繁栄することとなった。ここに由緒ある造り酒屋が存在したことを後世に長く伝えて欲しいものである。
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コメント

No title

こんばんは。
重厚な造りの酒屋さんですね。建物も立派ですが、お庭もセンスが有りますね。紅葉も見事です。
移築、仕方ないとはいえ、残念ですね。しかし、人間の営みと歴史は、こうして街の姿を変化させつつ、重ねられていくのでしょうね。永遠など、存在しないのですから。

URL | ひがにゃん ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ひがにゃんさん、今まで武家屋敷や肝入りクラスの古民家をいろいろと見てきましたがこの建物は入口が引き分け戸で開口が一間取れるので商家であることが外観からもわかります。

またこの建物は説明書きがなければここに昔からずっと建っていたと思うのかも知れません。
それだけに間取りと建築史上の考察が説明書きに欲しいところです。

大動脈の作並街道沿いに江戸時代中期に建てられたこの建物は、町の繁栄のみならず天保の飢饉も目撃してきたわけでさながら仙台の歴史の生き証人と言っていいのかも知れません。

また彼はその中に渦巻く多くの人々の喜怒哀楽も肌で感じていたのかも知れません。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

200年の歴史の中に色々な流れを感じました。
建物も日本の美を感じる造りですね!
今は門だけが残されて周りが商店街なのですね。
門構えが素晴らしいだけに周りのバランスが少し残念な気がします。
移設された建物の庭は今の時期の紅葉が素晴らしいですね('∀`)
四季の移り変わりを目にする事ができる風情に
日本の美を感じます。

URL | joeyrock ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

小生のような素人でも、このような建物を見せてもらうと、当時の建築技術が如何に優れていたか分かります。
仰るとおり、この建物は本当に沢山の出来事を見てきたのですね。
今日も素敵な仙台の散策を有難うございました。

URL | 行雲流水 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミックさん、こんにちは。

昔の家は梁が太く丈夫そうな家が多いですね。

200年の長い年月に耐えているのですね。
見事な建物を拝見し、楽しめました。

ナイス!です。

URL | 好日写真 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

joeyrockさん、この手の建物で現存するのは移設が多いのですがこの建物もそうでした。
近代から近世へ、近世から現代へ。
目抜き通りで忙しい往来に目を奪われたこの建物も、今は横丁で静かな余生を送っているのかも知れません。

この公園は昔は天賞苑というこの酒蔵の庭でしたが、移設された時に建物とマッチするように変更されたと思われます。
都会の中でこのような紅葉を見るとほっとしますね。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

行雲流水さん、小屋組みを見ると当時の大工の棟梁の技術の高さが伺えますね。
天賞酒造はこの近くにある大崎八幡神社の御神酒として作られたようです。
この建物の周辺はちょんまげ姿の町人で賑わったことでしょう。
往時の栄華が偲ばれます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

好日写真さん、昔の家は質実剛健な作りが多くこの建物もその例外でなかったようです。

しっかりした作りの中に存在する機能美が見え隠れします。
職人さんもプライドを持って取り組んだ建物という感じがします。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんばんは。
200年を越える商家の重厚な趣がいいですね。
木と壁によって描き出される線の美しさを感じます。
お酒造りが途絶えたことが残念ですね。
庭園の美しさにも往時の豊かさが偲ばれます。
現在の商店街としての繁栄も土地に根ざした歴史の支えかもしれませんね。
江戸時代の商家の佇まいを楽しませて頂きました。MN

URL | はぐれ雲 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

はぐれ雲さん、この造り酒屋はこの地区の顔とも言える老舗で城下町仙台の隆盛を肌で感じてきたのでしょうね。
一方で目の前を通る路面電車の廃止も間近に見て、世相の移り変わりの目まぐるしさも感じてきたことでしょう。

商家として現役は退きましたが、これからは江戸時代の趣を後世に伝えるという大切な役をになったのではないでしょうか。
こういう素晴らしい文化遺産を多くのかたとともに優しく見守っていきたいものです。MNありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

ミックさん こんばんはぁ~!☆

今回ご紹介頂いた場所も、全く知りません
でした。
見るからに、立派で趣のある建物ですねぇ!!
日本庭園も備えていて、ホッとしますね。

ミックさんも記事の中に書かれていましたが、
解体して建て替えられたと言うのが、惜しい
ですよね。

昔、商家として栄えた建物が立っていた場所が
今、また商業地として栄えると言うのは、考えると
不思議な様な気がしますが、人の行き交う場所は今も昔も
同じなのかも知れないですね。

便利なのはいいことではありますが、昔の佇まいが
消えてしまうのは、寂しいですよね・・・

ナイス!☆

URL | Maya ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

Mayaさん、ここは八幡町ですが確か昔48号線沿いに古い建物があったのをかすかに記憶していました。
それがいつの間にかなくなり壊されたものとばかり思っていたのですが、横丁に移転して保存されたようです。
今までいろいろな古民家を回って気づくのは移転が多いということです。
これは昨今の様々な事情がそうさせるのでしょうが、少し惜しい気がします。
なぜなら古民家にとってはその立地も大切なポイントであり大きな見どころの一つであるからです。
考えに考えた措置なのでしょうが、文化財級の古民家を保存する際は学術的なことも視野に入れてもらいたいものです。

ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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