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 きょうから9月である。穏やかな週末の早朝、私はある準備をしていつもの公園へと向っていた。月が変わって気がついたのは、夏の間小鳥の声に隠れがちだった虫の音が今や主役となっていることだった。
 
 「コロコロコロ…」「ジー、ジー、ジー…」、耳を澄ますと様々な種類の虫の音が耳に入ってきた。住宅街に溢れる人々の喜怒哀楽が朝の静寂の中に見え隠れする。私は公園に真っ直ぐに向わずにちょっと寄り道してみた。

 ここは過去の記事で何度か紹介した旧道(根白石街道)である。ほんの断片ではあるが団地開発にも拘わらず、このように昔人馬が往来した道がいまだに残っているのはうれしいことである。
 
 私は最近旧道際に建った別荘風の家のあたりの保存林に目を向けた。名前はわからないが落葉樹、針葉樹が入り乱れて雑木林を形成している。私は旧道沿いの雑木林のそばにたたずみ、その趣を眺めてみた。
 
 多種多様に及ぶ樹木の種類、老木、若木が入り乱れて共存する雑木林はあたかも様々な人々の入り混じった実社会の複雑な構図を見て取るようだ
 
 この別荘風の家はこの辺で一番標高の高いところ(尾根)に建っており非常に眺望の効く場所であるがその屋敷は他を圧するような感じはなく、保存林の景観と上手く調和しているのがうれしい。

 さて旧道の辺りを5分ほど探索した私は道を引き返していつもの公園へと向った。時刻は6時前、犬を連れた人が二人ほど公園内を思い思いに歩いている。

 私は公園内のほぼ中央にあるベンチに腰掛けて閑静な周囲の住宅地に目を向けながら用意してきたものをテーブルの上に広げた。ミルクティー粉末、紅茶ティーパック、携帯用小型摩耗瓶、マグカップ。インスタントではあるがこれぞ英国式ミルクティーのセットである。

私は以前から出口保夫著の「英国生活誌Ⅱ」に描かれた「紅茶のある風景」が気になっていた。この本によると今の時刻のミルクティーは朝食時のモーニングティーと区別され、アーリーモーニングティー(早朝のお茶)と言われているということである。

 モーニングティー、午前11時のお茶、アフタヌーンティー。英国ではこのお茶の時間は特別な意味を持つ。どんなに忙しい状況に置かれてもお茶の時間は欠かさないのだ。
 
 英国人の伝統とともに存在するのびやかでゆとりある国民性は有名だが、彼らは他人の生活に干渉せずに自分らしいライフスタイルを思い思いに貫く。これは個人主義とも言われるが他人との共存を肯定し、善意をもって人と接する。また彼らは同国民、他国民の垣根を作らずに友好的である。これは明らかに狭義で言われるところの利己主義と異なるものである


私はゆっくりと流れる時間に身を置きながら、こんな本を眺めミルクティーの放つ英国的なゆとりを味わった。

英国人のガーデニング嗜好は有名だが、この本を見るとまだ見ぬこんな異国を一度でいいから訪れてみたいものだと本気で思ってしまう。

***
 時刻は6時半を過ぎた。散歩者の数が増して公園に活気が広がった。「おはようございます。」公園のあちこちで挨拶が交わされる。英国の個人主義とは少し違うが我が国の礼儀正しさもけして捨てたものではない。

きょうは1時間半近く長居しただろうか。私はとてもすがすがしい気持ちになって公園を後にした。
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