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 東街道の面影を感じ抜群のロケーションに酔う
※注釈:東街道は国府多賀城に至る古代の官道「東山道」とほぼ一致するといわれ、中世には「奥大道」と呼ばれ、江戸時代に奥州街道が整備されるまではメインの道として利用されてきたいにしえの道である。
 
 由緒ある東街道が敷地を通り、かつ窓から絶景の景観を誇るカフェがある。その名は喫茶「遊」、仮に過去にいろんなカフェを巡ってきた人がここに居られるとしよう。その人をしても唸らせ得る珠玉のカフェがここ宮城県亘理郡山元町に存在するのだ。このカフェの立地について、写真を交えて説明しよう。ここは海岸から8キロ離れた丘陵地帯の景勝地である。
 
 カフェからやや離れた場所ではあるが、東側を見てみよう。雪化粧した亘理郡山元町は宮城県の南東部に位置する。町の名の由来が山下町と坂元町が合併した語源というのも興味深い話である。遠くに太平洋を望むが震災の大津波で失われた海岸林の寂しさが痛ましい…



西側を望めば穏やかな阿武隈山地が峰を連ねる。ここでの標高はせいぜい200メートルほどであり、福島県浜通り側の南にいくにしたがって高くなる(500~600メートル)傾向にある。



ここは阿武隈山地の北の始まりに近いところで山あれど険しからず、海あれど遠からずといった一種の中庸の美に恵まれている場所である。
 
点在するリンゴ畑と民家の織りなす妙が私の心をとらえた。
 


カフェが面している道路はアップルラインという。リンゴ畑が多いだけによく言ったものであり、この雰囲気にはピッタリの命名である。
 
このアップダウンに注目して欲しい。坂を少し下ればのどかな田園地帯が広がるがその様相は単なる平野と全く異なり複雑な変化に富んでいる。



阿武隈山地に抱かれた緩やかにうねった野の中にこのような沼、人口の溜池が自由気ままに点在する。これも複雑で変化に富んだ地形に彩りを添えていると言っていいだろう。



夏場であればまた違ったものに見えることだろう。
ここは雪原ではあるが、積雪も浅く津軽などに見られる寂寥感は全くない。
野原と遠方に見える雑木林のバランスが素晴らしい。



屋敷林の植生を見ると竹が多い。また松などの針葉樹の他に楢、椎などの落葉樹が多く見られる。比較的寒冷な東北の中では異色といってよく、温暖な太平洋気候を感じさせるものである。
それと民家の屋敷林と自然林の区別がつきにくいことに気がつく。これは自然と人工との見事な調和としか言いようがない。





これがそのカフェ「遊」である。



窓の欄間に入った「遊」という文字がなんとも遊び心を掻き立て、わくわくしてくる。



小高いカフェの窓からはそれを十分に実感できる。
南国の植物である蘇鉄が植えられているのには驚いたが、これはご主人の熱帯植物嗜好によるものとのことである。



ご覧のようにコーヒーを味わいながら、東側に開けたロケーションと中庭を3方向視界、270度に渡って味わえるのである。



室内のディスプレーを見て欲しい、棚は日曜大工でご主人が作り、飾り物は奥さんの趣味の手作りが多いとのことである。



織物、瀬戸物…飾りものは様々な種類に渡っており、ご夫妻の趣味の広さを物語っている。



このカフェのご主人、奥さんと話し込んだ。定年後に田舎暮らしに憧れ、仙台から転居したとのことだった。定年後に夫婦共通の趣味を楽しむのはなんともうらやましい限りである。


 
「転居した当初からカフェを開くつもりはなかったんです。カフェの運営はあくまで趣味の域です。」と笑いながら話す奥さん。この敷地はいわゆるY字路に面し、通常はあまり使いでがないとされる地形だが、この場所に関しては全く正反対で、土地が小高く、形状が三角形ゆえに南東側下方への眺望が抜群に開けているのだ。



 私は心底感動した。この南東側の解放感は当然ながら抜群の日当たりをも意味している。「まるでサンルームだ!」こんな自然豊かな場所で眼下に変化に富んだ景色を望みながら至福のカフェを楽しめる場所は、いまだかつてお目にかかったことがなかった。
 
バイク好きというご主人とも話が弾んだ。「バイクでよくフェリーを利用します。日本のいろいろな場所をソロで回りました。」と少年のような目の輝きで話すご主人。気に行った場所で第二の人生を謳歌するその姿勢には大きな共感を覚えるものであった。



最後にご主人のご厚意で東街道跡と思われる場所(敷地の中)に案内して頂いた。
下の写真でやや笹のくぼんだ場所が東街道跡とのことである。



奥州街道が作られるはるか昔、いにしえ人はこの地を如何なる気持ちで通ったのか?古代人になり切った私はその感慨に浸るべく、しばしこの林にたたずんでみた。
 
 秋には落葉樹の織りなす紅葉が疲れた心身を癒してくれたことだろう…初夏の晴れた日には木々の合間からの木漏れ日が差し込み、太平洋からの心地よい海風は旅人に大いなる希望を与えてくれたことだろう…
 
 私は心の中で決めていた。「シーズンが来たらこのカフェをバイクで再び訪れ、更にいにしえのロマンに浸り、この地を心ゆくまで探訪しよう!」と。


喫茶「遊」案内図

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