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 swing low sweet chariot - england rugby team 


静かに揺れる愛しのチャリオット
僕を迎えに来る
静かに揺れる愛しのチャリオット
故郷へと運んでおくれ

ヨルダン河に見たものは
故郷へと運んでおくれ
舞い降りる天使の群れ
故郷へと運んでおくれ

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ラグビーW杯が開催された昨年の秋、皆さんは準優勝したイングランドラグビーチームにどんな印象を持たれただろうか?決勝戦で南アフリカに破れ、中には表彰式で銀メダルを手で受け取り首にかけられるのを拒んだ選手もいたが、全体として彼らに反骨精神(イングランド魂)を感じたかたも多いのではないだろうか?

本日紹介するswing low sweet chariotは元々黒人霊歌として歌われたspiritualである。チャリオット(Chariot)とは、兵士を乗せ馬に引かせる戦闘馬車を意味する。19世紀の初めのアメリカで南部州から黒人奴隷を北部州に逃れさせる活動を歌い上げたとされるが、これは一説であって歌の起源は定かでない。歌詞やメロディから想像するのはハングリーな層に歌い継がれてきたspiritualという印象である。ともあれ、様々な歌をラグビーの試合で流して、最もイングランドファンの心を捉えたのがこの曲であった。

イングランドと言えば紳士の国という印象が強いが、それはイングランド人の気質の一部を捉えたものに過ぎない。イングランドは島国だが、先住のケルト民族と、移住してきたアングロサクソン民族とが血で血を洗う戦いに明け暮れた土地でもある。我が国の明治維新など、これに比べればまだまだ生易しいものなのかも知れない。

第二次世界大戦では、ナチスドイツによるロンドン空爆を受け、多くの市民が地下鉄の駅の中などに立てこもったが、チャーチル首相による激励もあり、8箇月にも渡る空爆に対して市民は平常心を保ち続けた。やがて英国は連合軍との協力でノルマンディー上陸作戦に転じ、侵略者ナチスドイツを見事に打ち破った。

他国にはけして侵略を赦さぬ。鉄壁の守りを誇るイングランドという国は大変誇り高い国だが、そのプライドの根源が反骨の上に成り立っている気がするのである。黒人霊歌であるスウィング・ロウ・スウィート・チャリオットに、彼らはそんな自分たちの境遇に近いものを重ねたのかも知れない。彼らは普段は紳士だが、有事においては兵士に変る。それだけ愛国心が強い民族なのである。

1選手

さて、3箇月半ほど前(2019年9月26日)を思い出してもらいたい。予選リーグで実力で格下のアメリカを相手に力を温存するのか?と思った我々が目にしたのは思いも寄らない乱闘シーンだった。

ことの発端はイングランドのキャプテンであるオーウェン・ファレルがアメリカのジョン・クールからハイタックル(肩より高い位置のタックルは反則)を受けたことに始まる。ほとんど頭突きに近いラフプレーで、両者の汗が飛び散っているのがおわかり頂けると思う。ファレルは一瞬脳震盪を起こしたのでは?と思うほどのダメージを受けグランドに倒れこんだ。

2頭突き

この時の得点は32対0でイングランド優位、そんなにむきにならなくてもイングランドの勝利は動かないのだが、そうは問屋が卸さなかった。頭突きをしたジョン・クールに眼を飛ばすオーウェン・ファレル。彼は伊達にキャプテンを張っているのではない。血の気の多いファイターでもあった。イングランド魂をむきだしにするファレル。

3ファレル

ラフプレーに納得できないファレルがジョン・クールに掴みかかろうとすると、周りが止めに入った。この時ジョン・クールは開き直って「来るなら来い!」と啖呵を切った。この時英語が通ずる同士の乱闘でどんな言葉が飛び交ったのか?はわからない。ファレルの心情を察するに、点差などは全く関係なく相手の取った行動がスポーツマンシップの理に反したことへの強い抗議であった。

この後VTR判定となり、アメリカのジョン・クールは退場処分(レッドカード)となった。

4乱闘

横町挨拶
スウィング・ロウ・スウィート・チャリオットにちなんだ話で印象に残ったのは、準決勝でのニュージーランド戦でニュージーランドのハカをイングランドのチームが見守った際、場内のイングランドファンが一斉にこの魂の歌を熱唱し始めたことです。ハカの号令さえ消し去る大音量で歌い上げられるswing low sweet chariotには、日本のラグビーファンも度肝を抜かれたことでしょう。一方でイングランドサポーターが試合前にビールを列車内に持ち込んで他の客の迷惑を顧みずswing low sweet chariotを歌いまくる姿がYOU TUBEに投稿され、彼らのマナーの悪さも取り正されています。

このように感心できないこともありますが、言えるのはイングランドという国家は表面上はクールに見えながらも、実情は熱血的な民族で成り立っているということです。イングランドは人口やGDPでは我が国に譲るものの、福祉や独自の文化において他国に対してアドバンテージを有しているとも言われます。この歌を聴く時、彼らの「熱血ぶりと心の余裕の同居」が窺い知れる気が致します。本日も最後までご覧頂き、ありがとうございました。

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5六百横町
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