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4日前の1月10日、版画家(日本画家)川瀬巴水の「日本風景集 東日本篇 石巻の暮雪(1935)」を紹介したが、川瀬の作品があまりにもインパクトが強かったので本日は彼の別な作品にスポットを当ててみたい。

これは「牛堀」という作品である。雪がちらつく中の小舟の様子がノスタルジーを誘う。彼の作品は、古き良き日本の原風景を追ったものが多いようだ。特定の場所を描いてはいるものの、このような風景は日本の各地に点在したに違いない。そのことが、この絵が鑑賞者に対して様々な想像を与えている気がする。

1牛堀

これは「冬」という作品である。彼は雪の日の絵を好んで描いているようだが、水墨画と水彩画を足して二で割ったような作風が凄い。水墨画ではややリアリティに欠けるし、かと言って水彩画ではわびさびを表現するには至らない。その両者の最大公約数をとったのが巴水の絵という気がする。

2冬

これはTwin Island at Matsushima 1941である。日本三景の松島は我が宮城県の誇る景勝地である。夜の海が霞んでいるようで幻想的な印象を受ける作品である。季節は春だろうか?月の反射や雲の掛かり具合などの表現が素晴らしい。

3Twin Island at Matsushima 1941

川瀬巴水(1883~1957)

東京・新橋生まれ。日本画家鏑木清方の弟子になり、伊東深水の影響で版画家に転向。浮世絵版画の新たな世界を切り開き、雪、月、雨など詩情的な風景版画で「旅情詩人」「旅の版画家」「昭和の広重」などと呼ばれる。 近代風景版画の第一人者であり、新しい浮世絵版画である新版画を確立した日本各地を旅行し旅先で写生した絵を原画とした版画作品を数多く発表、日本的な美しい風景を叙情豊かに表現し欧米でも著名、浮世絵師の葛飾北斎・歌川広重等と並び称される程評価が高い。


4巴水

横町挨拶
彼の作品はネット検索で数十はヒットするようです。富士山の絵もあるし、海や川などの水辺をテーマとしたもの、寺社仏閣、日本家屋、漁村、農村、桜…とバラエティに富んでいます。その中で一貫しているのは、日本の原風景を美しいと思う彼の信念です。日本人ならば多くのかたが持ち合わせているゾーンを彼は自らの作品で表している気が致します。

彼の作品の素晴らしさは、この時代に育った熟年層のみでなく、若年層にも伝わるものがあると察しております。彼と似た画家では奄美大島に魅せられ、運命をこの島に託した田中一村の写実的日本画を重ねますが、程よさという点で巴水とは一線を画すものと捉えています。機会がありましたら、また彼の作品にスポットを当ててみたいと考えております。本日も最後までご覧頂き、ありがとうございました。

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5六百横町
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コメント

なんとも幻想的な青の使われ方ですね。茅葺きの家屋の実際の色は青ではないはずなのに、なぜか納得してしまう色使いで、横町さんの水墨画と水彩画の最大公約数という感想がしっくり来ました。

調べてみると青中心の色使いのもの以外にも、赤を基調としたものもあり、しげしげと見いってしまいました。

こんばんは

冬の風景が現実的な場所なのに幻想的な印象を与えてくれるような素晴らしい作品ですね。
確かに水墨だけでも水彩だけでも、この味わいは出ないと思います。版画の技術だけではなく表現される物が素晴らしいですね。

URL | Joey rock ID:-

こんばんは~♪

川瀬巴水と言う人は知らなかったです。
真ん中の雪の風景が特に良いなって思いました。
ご紹介いただきありがとうございます。

URL | 布遊 ID:-

暇人ityさん、ありがとうございます。

写実に走り過ぎず、かと言って抽象や虚飾にも走らない。水墨画的な暈しを入れつつも、一線を画し程よいアレンジを施す。これは並大抵の才能ではないと考えております。大正~昭和にかけての巴水の作品には誠実さを重ねますが、1935年の石巻の中瀬を描いた作品などにはそれを強く感じます。このような原風景を脳裏に焼き付けているシニアは多いですが、正に痒いところに手が届く作品の数々と受け止めております。

彼の作品はまだまだあるようですが、YOU TUBE動画などを観て浸ってみたい気が致しております。お陰様で、今回もお励ましを頂戴しました。おはからいに感謝しております。ありがとうございます。

joeyrockさん、ありがとうございます。

昨日YOU TUBE動画でさわりの部分を見ました。川瀬巴水の作品は欧米で高い評価を得ているとされますが、もっと我が国で評価されていい画家と察しております。徐々に古き良き時代の面影が失われる現代ですが、多くの日本人の郷愁を誘う。彼の作品にはそれがあふれています。彼の作品との遭遇で自分は一気にファンになりました。

他の作品にも触れ、ブログで紹介して行きたいと考えております。お陰様で、今回も格別なるエールを賜りました。おはからいに感謝しております。ありがとうございます。

布遊さん、ありがとうございます。

彼の作品のテーマの一つは「わびさび」と察しております。雪の日の作品が多いのはそのためと考えております。同時に雪の日は立体感が一層増します。これが強く視覚に訴え、独特の趣をもたらします。
彼の描いた雪の日の作品を観ますと、普通の人の数十倍、否数百倍の感受性でそれを感じ取っていたのでは?とまで考えてしまいます。

かと言って晴天の日の富士や桜などの作品も非常によく掛かれております。とにかく奥が深いのが巴水の画と捉えています。おはからいにより、本日もお志を頂戴しました。ご配慮に感謝申し上げます。ありがとうございます。

おはようございます

川瀬巴水
素敵な心温まる作品ですね。
版画なのですね。色合いがとても素敵で心引かれます。

素晴らしい作品をご紹介頂き有り難うございます。

URL | つや姫日記 ID:-

お早うございます、

素晴らしい版画ですね〜
雪がちらつく中の小舟の様子も「冬」の薄く色を
付けたのも良いですが
最後の「松島と月に雲」も見応えが有ります、
朝から 良いのを拝見させて頂きました、

URL | 雲MARU ID:-

改めて、川瀬巴水の紹介、ありがとうございます…。

日本人の心に響く、原風景ともいえる情景が写実とも幻想ともいえるタッチで描かれていますね…。。。彼は日本各地を巡って絵を描いたそうですが、前回紹介していただいた石巻の情景も、彼の心を打った風景だったということですね…。。。

URL | boubou ID:-

つや姫さん、ありがとうございます。

川瀬巴水は日本の原風景を求めて全国を回ったとのことで興味を惹かれます。才能もすごいですが行動力に並大抵でないものを感じています。次回は図書館で彼の作品集を見てみたい気が致しております。庄内にも足を運んだのかどうか気になります。

お陰様で、今回もお励ましを頂戴しました。ご配慮に感謝申し上げます。ありがとうございます。

雲MARUさん、ありがとうございます。

巴水の日本の原風景は多くのかたの心を捉えているようですが、巴水の師匠である鏑木清方や伊東深水の作品にも自ずと視線が行きます。松島や石巻を描いた絵は将来的に脚光を浴びるシーンが来るのでは?と考えております。

独自の領域を開拓し、精力的に各地を回った彼の人となりにもっと迫ってみたい気が致しております。おはからいにより、本日も厚誼を頂戴しました。コメントを頂きありがとうございます。


boubouさん、ありがとうございます。

川瀬巴水は日本よりも海外のほうが有名と聞いています。自分はもっともっと評価されていい画家と察しております。誇張や装飾がなく、誠実さが作品にあふれている気が致します。

機会がありましたら、ブログに「日本画」というカテゴリーの増設も検討したい所存です。こちらこそ、お励ましを頂戴しました。ご配慮に感謝申し上げます。ありがとうございます。

横町利郎様

日本的な美しい風景を先日も拝見
訪問が遅れましたが再び目にする事が出来ました。
叙情豊かな表現、「巴水ブルー」と言われるように
「青色」のタッチで水や周囲の風景を描いて
素晴らしい版画家としての巴水をしりました。
横町さんの黒のブログ画面から際立っています。
古き良き日本の風景すばらしいです。
ありがとうございました。

ボタンとリボンさん、ありがとうございます。

川瀬巴水の作品は石巻の昔の風情をネット検索しているうちに偶然見つけましたが、何か日本人の魂を揺るがすかのような不思議な奥深さがあるようです。作品の数が多いことにも驚いています。欧米では著名とのことですが、日本国内でもっと評価されていい気が致します。巴水の作品は青の使い方は確かにすごいですね。

テンプレートの色をお褒め頂きありがとうございます。実は自分のブログの背景は黒に見えますがダークグレイです。黒はヘッダーのみで、両サイドと文章を書くところはトーンの異なる二色のダークグレーです。このあたりはライトブルーの文字(万年筆のように見せたかった)とともにこだわった部分でした。

お陰様で、今回もお励ましを頂戴しました。ご配慮に感謝申し上げます。ありがとうございます。

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