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土俵の上でのお相撲さんの泣き顔を久しぶりで見た。前回は誰だっただろうか?なかなか思い出せないが、今回の泣き顔は二度と忘れまい。それほどインパクトの強い感情移入であった。力士の名は幕内の前頭17枚目(幕尻)で初場所優勝を決めた徳勝龍である。失礼ながら、今回の初場所で彼が勝ち星を連ねて、優勝に近づき初めてその存在を知ったかたもおられるのでないだろうか?自分などは大変恥ずかしながら。彼が優勝を決めた後で初めてその名を知った次第である。


1泣き顔


VTRを見て驚いたのは、優勝を決めた直後の彼の泣き顔だけでない。優勝インタビューが圧巻だった。「自分などが優勝していいのでしょうか?」これには彼の謙虚な姿勢が窺い知れるが、昨今謙遜を出来ない力士が増えた中で、彼の人徳は大いに光った。お相撲さんには二つのパターンがある。座布団が飛ぶ力士とそうでない力士である。話題の炎鵬や今場所活躍した遠藤などは絶対に飛ばないタイプ(勝った場合に飛ぶ力士と、負けて飛ぶ力士が存在することも忘れてならない要素である)だが、飛ぶタイプの力士を挙げれば枚挙に暇がないほどである。大変残念ながら昨今はそれだけ徳を備えた力士(謙遜を備えた力士)が減ってきたと言わざるを得ない。


はっきりと記憶しているが、大相撲で勝った力士が負けた力士に手を差し出した時代があった。最近これが滅多に見られなくなった背後に一連の八百長騒動(故・玉ノ海梅吉氏の指摘、その後の相撲協会からの冷遇などから、昭和時代から連綿として続いたものと推察)があったと自分は考える。では、昭和の頃の力士が勝負が決まった後で手を差し出す行為に他意(なあなあ的な精神)があったのか?…考えればきりがないが、自分は「勝負師として持つべき至誠」と解釈したい。


力士という立場を考えれば勝負に生きる世界であり、「士」のつく職業でもある。これはもちろん武士道と相通じる精神を有する相撲道から来ている。力士はけして無頼漢であってはならないし、剛直一辺倒であってもいけない。力士は屈強な肉体に見合った儒教的精神を身に着ける必要がある。従って勝った後で敗者を労わらずに、ふてぶてしい態度を取れば自ずと座布団が飛ぶようになるし、徳勝龍らのように勝って奢らずという謙虚な姿勢を取れば座布団は飛び難くなる。


シビアな勝負の世界に生きる彼らとしては、そこまでは考えていられないと思うのかも知れないが、大相撲界はファンによって支えられているのを忘れてはならない。徳勝龍はその後のインタビューでこうも語った。「優勝はめちゃくちゃ意識しました…」これは正直な気持ちだろう。だがこれは前の会話で謙遜があったゆえにファン受けした文言と受け止めている。最後の決め手は「もう33歳だからと思わず、まだ33歳だと考えることにしています」という言葉である。33歳と言えば、相撲取りにとってそろそろ引退を考えてもおかしくない年齢だが、彼は自らの立場を見事な言葉(技と言っていい)で締めくくった気がする。「徳を備えて勝つ」…彼ほど四股名と理念が一致する力士も居ないことだろう。


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横町挨拶

当選して自分に万歳をする政治家、優勝インタビューの場で場内を仕切り、自ら万歳する大相撲の横綱…昨今謙遜を知らないかたが増えてきました。自分は仕事柄若い人に接する機会が多いですが、昨今若い世代を中心に丁寧語や尊敬語を使えるのに謙譲語を使えない、或いは使いこなせないかたが増えてきました。


自分の経験上、「桃栗三年柿八年」を引用すれば、桃と栗が丁寧語と尊敬語。柿が謙譲語と捉えています。それだけ場数をこなさないと自然と出てこないのが謙譲語です。そう考えると徳勝龍関は伊達に年を食っているのではない気が致します。恐らく彼はなかなか芽が出ない中で自分の人格を客観視し、それを磨いていったのでしょう。さもないとあのような言葉(自分などが優勝していいのでしょうか?)は出てきません。


もし大相撲における自分の理想を述べさせて頂くならば、勝負が決まった後に敗者に対して手を差し伸べる、敗者への労りの精神の復活です。自分は昨秋の世界ラグビー日本大会を観て大変感動したのが試合後のノーサイド(敵味方関係なく相手を讃えあい、ハグするスポーツマンシップ)のシーンでした。ラグビーは球技とは言え格闘技に近い競技ゆえ、相撲との接点を重ねております。最後に困難に打ち勝って優勝を決めた徳勝龍関に心から感謝と労いの言葉を掛けたい所存です。


徳勝龍関、お疲れ様でした。そして優勝おめでとうございます。あなたの活躍が新たな時代である令和に感動を呼び起こしました。大相撲の将来はけして捨てたものではありません。あなたの徳が大相撲に新たな風を巻き起こす原動力になりそうです。これからももう一花、否そう言わず二花も三花も咲かせてください。期待しております。」本日も最後までご覧頂き、ありがとうございました。


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2六百横町
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