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私が石巻市袋谷地を訪ねたのはちょうど一週間前の5月12日(土)のことである。今は住宅地となっているこの地区は、その昔葦の生い茂る湿地帯であった。

これは安政年間の石巻絵図である。時期的にはちょうど袋谷地(絵図の←部分のコブ状になった所)で農地開拓が進められた頃である。私の実家は横町(黄色:現千石町)だが、既に市街地と化しているのが確認できる。私の父方曾祖母のMは1855年(安政2年)生まれなので、この絵図は曾祖母の幼児期に書かれたものと受け止めている。

幼児期と言った根拠は、既に袋谷地地区に住居らしい表示が認められるからである。

これは安政年間から更に55年ほど過ぎた大正初期の地図(国土地理院)である。湿地帯だった袋谷地は水田に変わっている。入植した足軽の功によるものと思われる。


袋谷地地区には曹洞宗長林寺がある。長林寺は恐らく開拓が始まった当初に建立されたものと思われる。

Google航空写真で曹洞宗長林寺(赤)と住吉の蔵(黄色:藩の米を蓄えた蔵)の位置を確認して頂きたい。

長林寺には「袋谷地」と刻まれた石柱が立っている。石柱の側面には

江戸時代の藩米積み下ろしの監視や市内の警備、諸興行取締に当たった仙台藩御足軽三十五名によって開拓された所。「袋」は水辺の湾曲部の意、「谷地」は草立ちの湿地帯の意味(語源はアイヌ語でヤチ)安政四年(1857)十月祝田における久米幸太郎敵討ちの際、幸太郎の宿舎を警備した梅沢寛左衛門、梅沢万之助、大坂徳蔵、大坂作右衛門、栗原彦衛門、後藤長十郎、桜内善吉、千田八十郎、広田文右衛門などの姓名が新発田藩文書久米家復言一仟に云々

と刻まれている。どうやらこの地は江戸時代末期に仙台藩の足軽35人によって開拓された土地らしい。ところで、「祝田における久米幸太郎敵討ち云々」とはいったい何なのだろう?

赤:久米幸太郎敵討ちの際宿を構えた袋谷地地区
黄色:仇討ちの行われた石巻市渡波祝田地区

※以下「きてみてけらいん! いしのまき」より引用
越後新発田藩中小姓久米弥五兵衛が文化14年(1817)、同藩の藩士宅で馬廻役滝沢休右衛門に殺害され、その長男・久米孝太郎(1811~1891)が成人してから約30年全国を探し回り、僧形に扮し「黙昭」と名乗っていた滝沢を安政4年旧10月9日(1857年11月25日)、祝田浜(五十鈴神社前の仇討ちの碑のある付近)で打ち果たした。


事件発生から41年、史上2番目に長い仇討ちとして知られ、菊池寛(1888~1948)・長谷川伸(1884~1963)等により小説化され、平成10年(1998)3月にはNHK「堂々日本史」でも紹介されている。石巻市渡波梨木畑の旧金花山道脇には「胴空地蔵」と呼ばれる安政6年(1859)4月建立の滝沢休右衛門の供養碑が物悲しく建っている。

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これに対してのミック見解
石巻市祝田地区で仇討ちがあったのは以前から知っていたが、仇討ちを果たした久米孝太郎(長林寺の石碑には久米幸太郎とある)の宿舎が袋地だったのは、石柱を見て初めて知った次第である。

※下の写真は「きてみてけらいん! いしのまき」より引用

袋谷地は先端が川に突き出していて、例えればアフリカの喜望峰のような形状である。恐らく太古から陸と水(太古は海でその後は川)の鬩ぎ合いのあった土地なのだろう。(対岸は縄文時代の沼津貝塚のある石巻市稲井地区である)

ハングリーは人を強くすると言うが、足軽は雑草の如く強い。水害に何度も見舞われながらも不死鳥のように立ち直るのは、正に足軽の持ち味とも言える「強かさ」があったからに違いない。

ミック挨拶
自分の祖父方ルーツは1880年(明治13年)の牡鹿原(現石巻市大街道)の開拓に従事しましたが、その23年前にこのような谷地の開拓があったのは知りませんでした。長林寺には住吉小学校時代に同級生だったかたと同じ姓が刻まれた墓石がありました。実はこの姓は祖父のルーツと重なるものでした。そんなに多くはないこの名字はやはり葛西氏の家臣の系統から出ているものと考えています。

ところで、江戸時代は堂々と仇討ちが認められた時代でしたが、これには掟がありました。それは
①仇を討とうとする者の身分が武士であること
②仇を討とうとする者が、お上に申請し、仇討ちを正式に認められること
です。菊池寛の小説とは「恩讐の彼方に」或いは「仇討ち三態」のことであると思います。特に「恩讐の彼方に」は自分が精神的不調に陥った際に、新たな境地(それまでの怨讐を恩讐に変えようという気に至った)に繋がった作品ゆえ、大変感慨深いものを抱きます。

今回の取材で、様々なもの(点)が一本の線で結ばれてきた気が致します。歴史はこうなってくると一気に面白くなって参りますし、執筆意欲も大いに増します。本日も最後までご覧頂きありがとうございました。

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