fc2ブログ
偉大な思想家・佐藤一斎への畏敬
以前、江戸時代の儒者・三浦梅園を紹介したことがあった。今回紹介する思想家佐藤一斎(1772~1859)は同じ江戸時代の儒者でもやや年代が異なる。佐藤一斎のことを紹介する前におさらいのつもりで梅園の事を振り返っておきたい。

三浦梅園(1723~1789)


豊後国(大分県国東半島)出身。江戸時代の思想家、自然哲学者、本職は医者。条理学と言われる独自の学問体系を築いた『玄語』が有名。主要著書としては、他に『贅語』『敢語』がある。これらは、梅園自身によって「梅園三語」と命名された。彼の遺した言葉で印象に残ったのが「知識というものは、それが学習者の心に同化し、かつその人の性質に表れるときにのみ真の知識となる」という思想である。現代において有識者と言われる層に、この言葉がどれだけ浸透しているか…少なくても、学者や教育者はただ単にものを知っているだけでなく、人として恥ずかしくない倫理観(少なくとも人の痛みがわかる裁量、唯我独尊の陥ることなく相手を讃える度量)も持ち合わせねばならない。それを教えてくれるのが三浦梅園の教えである。

さて、本題に入りたい。佐藤一斎のことに入りたい。こうした思想家を紹介する前に、江戸時代の儒家の系譜をご覧頂きたい。

※系譜図は「日本の陽明学者」のサイトから引用(黄色で囲んだのが三浦梅園)


次に佐藤一斎の弟子筋をご覧頂きたい。



この図には書かれていないが、佐久間象山の弟子筋として吉田松蔭、吉田松蔭弟子筋として高杉晋作がいる。また直接の弟子ではないが西郷隆盛も一斎の思想に深い感銘を受け、一斎の代表的著物「言志四録」から引用した言志四録手抄101箇条は西郷が死ぬまで肌身離さず身につけていたものとされる。

佐藤一斎(1772~1859)


・1772年(安永元年)江戸浜町の美濃岩村藩邸に生まれる。(父は美濃岩村藩の家老・佐藤信由)
若年時は拳法、柔術に優れ血気盛んなあまり、夜間酒に酔い、親友とともに道行く者を倒して歩いたという品行不良もあったと言われる。
・その後それまでの品行を悔悟し、志を立てて学問に専念する。
・見る見る頭角を現し19歳で岩村藩主・松平能登守乗保の近侍として正式な士籍を得る。
・翌年或る出来事に遭遇し、職を免ぜられ、自ら願い出て士籍を脱する。
・浪士となった一斎は江戸を出て大阪懐徳堂の儒者である中井竹山(1730~1804)に師事する。
・半年後、懐徳堂が火災で焼失し、再び江戸に戻り林家(官学として認められていた朱子学の宗家)の門に入る。
・林述斎(1768~1841、一斎とは義兄弟)を助けながら林家と昌平坂学問所を盛り立てる。
・1805年頃、34歳で林家の塾長となる。
・42歳(1813年頃)で代表的著物「言志四録」を書き始める。
・55歳で岩村藩の老臣の列に加えられる。
・70歳で長年連れ添った林述斎と死別する。
・83歳で「言志四録」を書き終える。
・70歳から18年もの長い間、精力的にその職を勤め上げ1859年(安政6年)、昌平坂の官舎で88歳の生涯を閉じる。



小泉純一郎元首相が2001年の国会審議で引用して有名となった「少くして学べば壮にして為す有り……老いて学べば死して朽ちず」の格言(意味:若いころから学べば、壮年になって大きなことをなし遂げることができる。壮年になってから学べば、年老いても衰えることなく活発に生きることができる。年老いてから学べば、死んだとしても不朽の評価が得られる)はあまりにも有名だが、これだけでは物足りないので、今回は他の言葉も紹介したい。


それは官職(今で言う公務員)に就くものへの教訓である。「官職にある者にとって好ましいことは①公平無私②正直③清廉潔白④敬慎であり、これらを守っていればけして過ちを犯すことはない。逆に官職に就く者にとって好ましくないことは、①不公平②邪悪③不品行④傲慢であり、これらのことを犯せば災いを招くこととなる」という意味の言葉である。

政治家や官僚による不祥事が後を立たない昨今、そうした立場の人間は改めて、彼の言葉を噛み締め、襟を正して欲しいものである。もちろんこれは公職に就く者のみに関わらず、我々サラリーマンにも当てはまる言葉である。自分もこの言葉を肝に命じて残されたサラリーマン生活を全うしたいと考えている。


横町挨拶
「言志四録」に書かれていることは実人生で大いに役立つ教訓ばかりで、改めて一斎の懐の広さに敬服します。佐藤一斎に関する研究はこれからも続けて行きたいと思いますが、枝葉を含めると一斎から影響を受けた人物は大変多いのではないでしょうか?彼に関することはまだまだございますが、最初からボリュームが多くなっても何ですので、今回はプロフィール的な内容に留めたい所存です。

さて、私事で恐縮ですが、本日から連休に入りました。5月1日(火)は出勤ですが、それ以外は休みで、前半が三日、後半が5日の飛び石です。前半初日の本日に敢えてこのような哲学関係の記事を書いたのは自分への戒め(連休は一日たりとも無駄にしない)という決意がございます。もちろん史跡などを回りたいという希望もありますが、前半は概ね天気がいいようです。どうか皆さんもいいゴールデンウイークをお過ごしください。本日も最後までご覧頂きありがとうございました。

関連記事

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)