fc2ブログ
久しぶりに「伊達政宗の研究」のカテゴリーの記事の掲載である。以前から気になっていたのだが、伊達政宗を育てた名僧・虎哉宗乙(こさい そういつ)のことである。仙台市の青葉区図書館(メディアテーク)には一冊の虎哉宗乙に関する資料があるのだが、非常に分厚い本ということもあり、恥ずかしながら気遅れしていた。伝記的な著はないものか?と探していたのである。

1独眼竜政宗:大滝秀治

私の目に留まったのは小和田哲男氏(NHKの歴史番組に何度も出た著名な歴史学者、静岡大学名誉教授)著「戦国武将を育てた名僧たち」である。この中に「伊達政宗の師・虎哉宗乙」が掲載されている。

2戦国武将を育てた禅僧たち小和田哲男

戦国武将伊達政宗の師・虎哉宗乙は享保3年(1530年)美濃国方県郡馬馳郷(岐阜市西郷)に生まれた。一説に福地氏の出と言われるが詳細は不明である。11歳で現在の岐阜県揖斐郡揖斐川町小野の東光寺で仏門に入った。虎哉の師の岐秀元伯は武田信玄の師でもあった。岐秀元伯の教えを受けた虎哉は天文14年(1545年)から諸国行脚を始めた。美濃の崇福寺では同じ宗派(東海派)の快川紹喜からも教えを受けた。虎哉が出羽国米沢の戦国大名である伊達氏と関わったのは、この全国行脚によるものとされる。


虎哉は弘治3年(1557年)に二度目の全国行脚に出たが、途中の出羽国米沢の東昌寺大有康甫(だいゆうこうほ)と出会ったのが伊達氏と関わるきっかけと思われる。大有康甫は政宗の祖父の晴宗の弟で政宗から見て大叔父に当たる人物である。大有康甫は京都の東福寺に入り、修行の後出羽国の東昌寺の住持となった。大有康甫は輝宗(政宗の父:伊達氏第16代当主)に虎哉こそ、政宗の師に相応しいと説いたのである。


3妙心寺の四哲とその弟子

但し、この時点で政宗はまだ生まれていない。輝宗はこれを受け、元亀3年(1572年)虎哉を政宗(幼名は梵天丸)の師として迎え、米沢の資福寺の中興開山とした。時に虎哉43歳、梵天丸6歳のことであった。一度は老母がいるからと話を断った虎哉だが、再度の要請を断れないと思いこの役を引き受けたとされる。


漢詩などに見る政宗の高い教養(多数の手紙や詩文作成のスキル)は有名だが、その多くは虎哉からの教えが大きかったと推察されている。虎哉はずっと政宗のもとに居たわけではなかった。一時は政宗のもとを離れて京都の妙心寺や美濃の瑞龍寺に入った。再び米沢に戻ったのは天正10年(1582年)のことであった。


天正13年(1585年)輝宗が二本松城主の畠山義継の謀略で非業の死を遂げた際は、導師として輝宗の遺骸を荼毘に付し、翌14年(1586年)には米沢の覚範寺の開山となった。その後政宗の国替えに伴い、覚範寺は米沢(山形県置賜地方)から岩出山(宮城県北部)へ、岩出山から仙台へと移転し、都度虎哉はその住持をつとめた。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


虎哉和尚に関わる逸話が残されている。政宗が仙台開府を成した際、城下の広瀬川に架かる大橋を建設した際、その擬宝珠に虎哉の作った詩が彫られたという。


仙台橋

津梁大哉 直昇仙台 虚空背上 車馬往来 仙人橋下 河水千年 民安国泰 孰与尭天(津梁大なるかな 直に仙台に昇る  虚空背を上にして、車馬往来す 仙人は橋下 河水は千年 民を安じ国を泰す 尭天と孰か)である。


小和田哲男氏によれば、詩中の「民安国泰」(国家が安泰で人民は平穏 という意は松島瑞巌寺の文王の間の扁額「松島方丈記」(虎哉筆)の「国泰民安」とも重なるという。尭とは中国古代の伝説上の聖王で舜と並ぶ理想的な王とされる。政宗の政治理念にも大きな影響を与えたと思われるのが虎哉宗乙であった。虎哉宗乙は慶長16年(1613年)に仙台で82歳で没している。


4伊達氏略系図

横町コメント
伊達政宗はよく織田信長に似ていると言われますが、家臣や自領の民を大切にしたという点において徳治政治(徳をもって国を治める)の色合いを感じます。その理念の多くが虎哉宗乙の導きによって備わった気が致します。時に厳しく時に寛大にということです。

これに重なるのが禅の教え「官には針を入れず、私に車馬を通ず」(表向きは針も通さないほどの小さな穴と思っていたら、実は車でも馬でも通ってしまうほどの大きな穴であった。…転じて、表面上は針をも通さないほど厳格としながらも、裏では車や馬も通すほどの寛容さがないと取り巻く人の心は徐々に離れてゆくものである)です。

このバランス感覚こそが伊達政宗の持ち味であり、二人の天下人(秀吉と家康)を前にして臨機応変な対応があったと考えています。世渡りの上手さと文武両道こそが彼の持ち味と言えるのでないでしょうか。本日も最後までご覧頂き、ありがとうございました。ブログランキング・地域情報・東北地区に参加しています。クリックして頂ければモチベーションが高揚します。宜しくお願いします。
 ▼▼▼


5六百横町
関連記事

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)