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本日は有給休暇を取得したので三連休である。ラッシュアワーの時間を少し過ぎた頃、私はJR仙石線で塩竃に向かった。塩竃は仙台から北東に17キロほど行ったところに位置する港町である。この建物は昭和25年に建造した旧公民館本町文庁を改装したものである。

1北側から見た外観

Google航空写真で杉村惇美術館の位置を確認して頂きたい。旧亀井邸からほぼ南に200メートルの場所(高台)である。

2航空写真

杉村惇略歴
明治40年(1907)、東京市牛込区(現新宿区)に5男4女の末子として生まれ。戦後の昭和21~39年頃に塩竈で暮らし、塩竈の風景や鮮魚を題材に、数多くの油彩画を描く。静物画を得意とし、「静物学者」の名で親しまれ。昭和2年(1927)、東京美術学校(現東京藝術大学)西洋画科に入学。岡田三郎助(帝国美術院会員・第1回文化勲章受章)に学。在学中の昭和5年(1930)、静物画≪パン≫で第11回帝展(帝国美術院展覧会)に初入選するなど、その才能は高く評価された。

 昭和20年(1945)、戦災により自宅・アトリエ、作品のほとんどを失い、東京から仙台に疎開後の翌年、夫人の縁故により塩竈に転居する。当初は築港魚市場の向かいに居を構えていたこともあり、活気ある港町・塩竈は杉村画伯に多くの影響をもたらした。昭和40年(1965)、東北大学や宮城教育大学で教鞭をとる利便性などから、塩竈から仙台へ転居。(塩竃には昭和21年~昭和40年まで、約20年間住んだことになる)

昭和45年(1970)には日展審査員、その後は評議員も務めたほか、様々な美術団体の運営に参加、結成に尽力するなど芸術文化の振興に大きく貢献する。物の〈存在と空間〉を追求し続け、作品への熱意は80歳を越えても絶やすことはなかった。平成13年(2001)、93歳で逝去。

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基本的に一つ一つの作品の撮影は禁止されているが、室内の状況を写すことは許可されている。但し広角レンズでないと室内全体はとらえ切れない。インターネットから引用した広角画像で展示室をご覧頂きたい。平日ということもあって見学者は私一人で貸し切り状態であった。

3広角レンズ撮影による展示室内

この絵は展示室にはないものでインターネットから引用した「馬放島」(1950年:43歳の時の悪品)である。馬放島は松島湾に浮かぶ無人島だが、72年前の作品だけに極めて興味深いものがある。39歳から58歳まで塩竃に居住した杉村画伯は塩竃近辺の風光明媚な場所に足を運び、スケッチに励んだものと思われる。

4馬放島1950年

これもインターネットから引用した作品「山村の春」(1958年発表:51歳の時の作品)である。

5山村の春1958年

実は傾向として静物画が圧倒的に多い。惇はそのことについてこう語っている。「静物画は自分の世界を創りだしていくところに深い興趣がある」彼の遺した静物画を見て”誠実さ”を感じるのはけして自分だけでないことだろう。杉村画伯の作品に際して思うのは70代、80代の作品(生物画)の多くが原色に近い派手な色彩(赤や黄色)を使っていることである。このあたりを意識したかどうかは定かでないが、彼の感性が年齢以上に若かったことに関連することなのかも知れない。

6作品の数々

杉村画伯は極めて哲学的な言葉を遺している。それは「一朝一夕でいい絵がかけるわけはない。命を削るようにしないと、本当にいい絵はかけません」としていることである。これは絵画だけでなく、多くの分野に当てはまることなのでないだろうか?ちなみに、私は歴史物を書いているが、時にどう書いていいかわからなくなる時がある。それだけに、この言葉の真意が非常に身に染みるのである。

7命を削る

展示室での見学を終えた私は二階のサルーンに移り、暫し快適な空間に身を置いた。窓からは塩竃市街地が望める、未だに完全リタイヤしていないが、こんな心の贅沢が他にあるのだろうか?私な自分の心に自問自答した。いつもより時間はゆったりと流れる…

8二階サルーン

横町コメント
見学を終えた私はサルーンのBGMでバッハの「主よ人の望みの喜びよ」を聞きました。それは恰も非日常の空間に我が身を置いたかのように感じた次第です。三連休の初日に塩竃に足を運び、このような贅沢な時間を過ごせたことに素直に感謝したいと思います。

何と言っても印象に残ったのは杉村画伯が70代~80代にかけて遺した作品の数々です。使われる色彩に関しては赤や黄の原色が多いというところに画伯の強い生命力(若い感性を少しも失っていない)を重ねた次第です。これはもちろん自分への励みになります。あくまでも自分の想像ですが、恐らく画伯は健康寿命を高齢までキープされたのでないでしょうか?

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9六百横町
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