天才バッター/ランディ・バースの突然の帰国と野球殿堂入り
去る7月19日に行われたオールスター戦・第一戦で、野球殿堂入りで表彰されたランディ・バース氏(過去に5年間だけ阪神タイガースで活躍)は、所属した阪神や、当時のチームメートへの感謝を口にした。「タイガースが日本でプレーする機会を与えてくれてすべてが始まった。感謝しています。掛布さん、岡田さん、真弓さん、川藤さん、すべてのチームメートがよくしてくれて、感謝している」と挨拶を述べた。
メジャー出身のランディ・バースは日本に来て、85年には三冠王を獲得(打率.350、54本塁打、134打点)したが、長距離打者でありながら、広角打法を持ち合わせた稀有な天才的バッターであった。(但し、守備と走力はけして秀でたものではなかった)ちなみにバースと同年齢で、また同一シーズンで三冠王を獲得した落合博満は、バースの打撃を「頭のいい打撃」と評価している。
そんな彼に突然の出来事が襲った。88年水頭症を患った長男への対応を巡り球団と対立し、シーズン途中の6月に解雇されたのである。契約では家族の疾病の際には球団が医療費を負担することになっており、多額の医療費を負担することを恐れたための解雇だった。この経緯については、退団後に発売された自伝『バースの日記』でも述べられている。
なお、このバース退団後の7月19日、当時の阪神球団代表だったK氏が東京都内のホテルで飛び降り自殺する事件が起き、バースの退団をめぐるトラブルで球団とバースの板挟みになったのではないかと報じられた。この一件は、後に球団側が示談金を払ったことで解決したとされる。
※野球殿堂入りしたバースを祝福する岡田監督。去る9月14日に、阪神タイガースは18年ぶりの優勝を決め、今度は岡田がバースに祝福される側となった。とても69歳には見えないランディ・バースは実業家、政治家としての顔もある人物である。
横町コメント
3908番目の記事です。欧米の個人主義は徹底しています。プロ野球選手で言えば、外国人選手がシーズンの途中であっても家族の事情で、突然帰国したりします。彼らは組織の中の一個人の在り方を強く意識する我が国の思考とは一線を画す考え方(例え所属する組織がどうなろうが、個人としての権利を行使するのはごく当たり前)を持っています。
88年の例の出来事を振り返ります。最終的には和解に至りましたが、アメリカ人の彼とすれば、なぜ契約通りにことが進まないのか?一時はタイガースに不信感を募らせたに違いありません。当時の私としては、なぜこのような超一流バッターが日本のプロ野球界から突然いなくなったのか全く理解できませんでした。
あれから35年を経て、「家族思いな彼は、グレートな野球選手であることよりも、良き父、良き夫であることを選択したんだな」という印象を強く受けます。そんな彼はもちろん大の親日家でもあります。私はけして阪神ファンではありませんが、そんな彼に限りない親しみを感じています。本日も最後までご覧頂きありがとうございました。ブログランキング・地域情報・東北地区に参加しています。宜しければクリックをお願い致します。
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