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本日はノーベル物理学賞を受賞した天才科学者アインシュタイン(1879~1955)について、過去に放映されたNHKその時歴史が動いた「日本を愛したアインシュタイン」を基にしながら、進めて行きたい。本日のその時は、アインシュタインが科学者による全世界的な平和運動に乗り出した時昭和21年(1946年)5月23日(核兵器の利用に反対を唱えた日)である。

アルバート・アインシュタイン(1879~1955)
ユダヤ系ドイツ人理論物理学者。光量子説・ブラウン運動・特殊相対性理論・一般相対性理論を発表。1921年、ノーベル物理学賞を受賞。1933年にナチスに追われて渡米。マンハッタン計画に参画したが、第二次大戦後は、世界政府を提唱するなど、平和運動に尽力する

※湯川秀樹博士(左から二人目)らと歓談するアインシュタイン(左端)

多くの成功者がそうであったように、アルバート・アインシュタインの少年時代から青年時代にかけて歩んできた道は、けして抜きん出て順調なものとは言えなかった。ユダヤ人の家庭に生まれた彼は内気な性格だったとされる。挫折は人に奮起を促し、強さを与えるものにもなり得るという普遍性を有するが、その例に漏れず彼はスイスの工科大学受験に失敗し浪人を強いられる。しかし、その浪人中に就職した特許局がその後の彼の運命を大きく変えるものとなった。彼は独学で「相対性理論」を習得し、一躍時の人となった。

1914年となり、第一次世界大戦になると、彼は科学が軍事目的に使われることに深い危惧を抱いていた。1922年日本への講演を依頼された彼は、来日に至った11月17日の直前にノーベル賞の受賞が決まったことを知らされる。日本各地を講演して巡ったこの旅行中に、彼は通訳の稲垣守克(写真左)と親しくなる。

1923年大戦の傷跡の色濃く残る祖国ドイツに帰ると、彼はフランスのドイツのルール地方侵攻を止められなかった国際連盟の無力さに失望することになる。そんな過程を経て彼はある決意をした。それは軍事力の放棄による絶対平和主義を唱えることだった。1928年に彼は「戦争は御免だ宣言」に署名したのである。

1930年代に入ると、祖国ドイツではナチスが台頭し、一方アジアでは満州事変勃発もあり、世界は再び大戦の渦に巻き込まれていった。1933年11月に、アインシュタインはナチスのユダヤ人迫害を逃れてアメリカに亡命した。1938年ドイツの科学者オットー・ハーンの研究で核分裂が発見されたが、この理論はアインシュタインの「相対性理論」を応用したものであった。この理論が戦争兵器に使われた暁には想像を絶するような強力な爆弾が作られる。彼はこのことに大いに危惧を抱いた。

亡命後にナチスの多くのユダヤ人迫害に際したアインシュタインはナチスへの武力行使を止むを得ないものと考えるようになった。1939年8月、ナチスが原子爆弾を手にすることを恐れた彼は、当時のアメリカ大統領のルーズベルトへ原子爆弾の開発を急ぐように勧告した。1939年、ついにポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった。1941年には真珠湾攻撃で日本もこの大戦に参加するものとなった。

そんな中で1942年にはアメリカの原子爆弾開発が密かに進められていた。原子爆弾の開発の様子はアインシュタインにはまったく知らされなかった。1945年5月7日にナチスドイツが降伏したにも関わらず、原子爆弾の製造は行われた。核爆発実験を経て遂に原子爆弾が完成したのである。そうして1945年8月6日に日本の広島に原子爆弾が投下された。この3日後の8月9日には長崎にも投下された。

アインシュタインは自分の発明が戦争兵器に使われたことに深く失望した。そして1946年5月23日、彼は科学者自身が先頭に立って平和運動を始める「原子力科学者研究委員会」の会長に就任し、「世界政府による原子力の管理」を訴えたのである。
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解 説
20世紀の科学を代表する発明の代表の一つがアインシュタインの相対性理論です。番組でも紹介されましたが、彼は大の親日家でした。皮肉にも相対性理論を発見した彼は、その理論の応用である原子爆弾を、愛して止まない日本に、投下されてしまいました。この時の彼の心の痛みは、一体どれほどのものであったのでしょう。恐らく胸の張り裂ける思いだったのではないでしょうか?

夢のような発明が大国の利害に使われ、本来の趣旨と異なった使われ方をする。科学者としてこれほど、辛いこともないと私は察しています。同時に、原子爆弾がナチスによって開発されたならどんなことになっていたのか?という点も気になるところです。昨今、北朝鮮による弾道ミサイル発射や地下核実験の挑発的行為が、世界平和を脅かしていますが、核兵器が理性という分別のない国家の手に渡るのは、極めて危惧すべきことです。

人類にとって輝かしいものとなるはずのこうした画期的な発明が戦争目的に使われる。これを振り返って見れば、けして近代に始まったことでなく、大航海時代のアフリカ大陸、アメリカ大陸などの原住民の征服に銃が用いられたのと同義と捉えております。武力による征服は必ず遺恨を残し、その後の報復の連鎖に繋がる。人類は古代からこのようなことを、数え切れないほど繰り返してきたわけで、私はここに改めて共存共栄による平和の尊さを強く感じます。

番組にも出て参りますが、アインシュタインが来日時にもたらした啓発は、殊のほか大きかったようです。アインシュタインは日本の物理学の権威である湯川秀樹氏や朝永振一郎氏などの物理学者にも大きな影響を及ぼしたのです。国民の意識に深く根付いた勤勉性は、我が国の大きな美点ですが、アインシュタインの存在が、我が国の物理学の発展に一つの起点をもたらしたとも言えるのではないでしょうか?

平和裏な解決方法によって、昨今の北朝鮮による威嚇が大事に至らないのを祈念したいと思います。本日もご覧頂きありがとうございました。
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コメント

No title

こんにちは

アインシュタインの相対性理論の応用で
原子爆弾は開発されたのですね。
科学者 物理学者の研究が戦争と結びつく事ほど
嘆かわしいことは無いですね。
いくら平和利用と声高に叫んでも 戦争に利用されてしまいます。

今の日本の科学者なども軍事に関する研究に補助金が
つけられることになっているのでは。
人類の首を絞める研究にならなければいいのですが。

アインシュタインは親日家だったのですね。

URL | つや姫日記 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんばんは ミックさん

更新お疲れ様です。

アインシュタインと言えば、相対性理論。
来日もしていた。
これくらいしか知りませんでした。
まさか、原子爆弾に関わっていたとは。
親日家であったなら、どれだけ落胆されたでしょう。
素晴らしい発明も、軍事に利用されれば
悪の兵器になってしまう。
恐ろしく、悲しいことですね。

本日はアインシュタインについて、詳細に教えていただき、ありがとうございました。

URL | ヤスミン ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> つや姫さん
某は自分のブログをディレッタンティズムにしたいと述べた以上は二言はございません。彼は日本の主要都市を巡って講演会を開催しましたが、その真摯な姿勢に多くの人は心を打たれて、我が国の物理学の向上を願ったと察しております。

自分の発明が軍事目的に使用されるのは彼にとって苦痛以外の何者でなかった。ここに某は彼の良心と好感を抱きます。

姫に於かれましては、いつも暖かいご処遇を頂き大変感謝しております。本日も格別なる御厚誼を賜りました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

> ヤスミンさん
アインシュタインは湯川博士にも大きな影響を及ぼした人物と捉えております。彼の評価すべき点は単なるサイエンシストに留まらず人格にも秀でた人物であった点と受け止めております。

知識や技量は人の人格をも育てる。この動画を見て改めてそう認識した某にごさいます。某はこの記事を北朝鮮の金正恩に読んでもらいたいと心得ます。。
さすれば彼も間違いに気づくはず。金正恩も血の通った人間ならば考えてもらいたい。本記事の趣旨はそれにつきます。

ヤスミンさんに於かれましては、本日も御厚誼を賜りました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

相対性理論のことは全く分からないです。
戦争兵器として使われてしまったのですね。
偉大な発明も、使い方によって、発明者の意思と違う方向に使われてしまうのは悲しいですね。

URL | 布遊~~☆ ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

アインシュタインは、戦後は日本を訪れることなく、昭和30年に死去しているのですね…。。。

原爆を2発も落とされた日本の姿を見てほしかったですね~。。。

URL | boubou ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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ミック様へ
科学の発展と戦争は切っても切れない仲となっているようで辛いです。今や全ての科学が戦争に応用されていると言っても過言では無い。今地球の周りを回っている衛星は軍事目的です。宇宙開発そのものが軍事と直結している時代です。これなら科学の発展など無いほうが良いのではと思ってしまう私です。しかしです。その中でアインシュタインのような考えを持った人もおられる。これを決して科学者は忘れてはならないと私は思います。本日も勉強になりました。ナイスです。有難うございます。

URL | 不あがり ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> 布遊~~☆さん
偉大な発明が戦争に使われてしまう。これはアインシュタインにとっては耐え難いことだったと察しております。彼の平和志向には評価に価するものを感じています。
同時に彼の勤勉さは我が国の往時の物理学者に多大な影響を与えました。湯川秀樹氏とアインシュタインが一緒に歩いている画像は圧巻です。

ご自身に於かれましては、いつも真摯なご対応を頂戴し大変感謝しております。本日も格別なる御厚誼を賜りました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> boubouさん
なるほど、原爆被爆国の我が国の国民感情を語るならば、そういうことになりますね。
某はサイエンシストにはモラルが欠かせない。否一体のものとも認識しております。

貴兄に於かれましては、いつも暖かいご処遇を頂き大変感謝しております。本日も御厚誼を賜りました。コメントを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> 不あがりさん
今、片っ端から「その時歴史が動いた」をYOU TUBEで見ております。改めてこの番組の価値を見直しています。
歴史を振り返ることで現代や未来が見えて参りますが、科学を平和に使いたいというアインシュタインの倫理観は多くの科学者が見習わなければならないと認識しております。

貴兄に於かれましては、いつも格別なお引き立てを頂き大変感謝しております。本日も心暖まるお言葉を頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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そのつもりがなくても発明や発見が戦争に利用されたら辛いですよね・・・

URL | ぼたん♪ ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> ぼたん♪さん
自分の発明を大量殺戮兵器に使われたアインシュタインの心中を察しております。
ご自身に於かれましては、いつも真摯なご対応を頂戴し大変感謝しております。本日も心暖まるお言葉を頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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アインシュイタインは日本びいきだったのですね。
天才物理学者ならでは苦悩はやはり生きた時代が
そうさせたのでしょうね。
時代に反して平和を訴えたのは素晴らしい偉人ですね。
ナイスです。

URL | ことじ ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

> ことじさん
サイエンシストというのは人格を伴ってこそ、偉大であると認識しております。江戸時代の儒者・三浦梅園は「知識というものは、それが学習者の心に同化し、かつその人の性質に表れるときにのみ真の知識となる 」と述べ、知識にのみ拘り、人徳を疎かにする御仁を戒めていますが、 アインシュタインにはこうした人徳がごさいました。

某はこうした人物に今後も脚光を浴びせて行きたいと存じます。貴兄に於かれましては、いつも格別なお引き立てを頂き大変感謝しております。本日も心暖まるお言葉を頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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