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 文学講座「思想家阿部次郎と夏目漱石」
私は昨日の午後、或る講座を受講するために仙台市の都心部へと向かった。ここは会場となった仙台市市民活動サポートセンターである。

今回の公開講座はこの建物の6階のセミナーホールで開催される。参加者はざっと見て50名前後といったところである。

講師は東北工業大学教授の野家伸也氏、テーマは「仙台の文人・阿部次郎と夏目漱石」である。

今回の講座の趣旨を箇条書きで述べたい。

漱石と次郎は16歳、年が違う(漱石は1867年生まれ、次郎は1883年生まれ)でこの年の差が微妙で親子ほどの違いでなく、二人の間には師弟関係とは異なる先輩と後輩というような関係が存在し、このことが次郎の対抗心を刺激して、漱石の作品「それから」の批判に繋がった。

次郎の自己の苦い恋愛体験、結婚経験(彼は自身の妻のつねを一時的に横山市治郎という男に奪われている)が「それから」に対しての物足りないという気持を誘発した。(一人の女を巡って、友だち同士だった二人の男の確執に際し、描写の不足を感じた)

近代の歴史を振り返れば自由主義(理性の専制)と共同体主義(感情が理性を制圧)の二大思想をは、相互に抱える矛盾で長く続かずに、いつしか繰り返すものとなる(例:旧ドイツのワイマール共和国からナチス第三帝国への反転。米国に於ける大統領が「理性の人・オバマ」から「感情の人・トランプ」に変わったetc)これらと似た関係として、阿部次郎を自由主義の思想家として信念に生きた「強い人」とするならば、夏目漱石は芸術家的直感で社会を見抜き、その宿命を全体として克服していく道を求めた「全体的模索者」と言える。
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ミック感想
現在、毎日のようにアメリカのトランプ大統領の動向がメディアに取り上げられていますが、私はこうした近代に於ける歴史や思想を学ぶことで、アメリカの、或いはアメリカを囲む世界の動向が朧気ながら見えてくるような気が致します。私は以前から文学と歴史と哲学は兄弟のようなものと述べてきましたが、昨日の野家教授の講座を受け、改めてそれを痛感しました。

即ち、野家教授は夏目漱石の「それから」という作品を通して、これを批評する阿部次郎のスタンスを掲げ、彼らの主張を単なる文学上の擦れ違いと捉えることでなく、その根底にどんな思想が含まれているのかを掘り下げようとしたものと認識しております。言い換えれば大局的、哲学的な捉え方をされたものと受け止めております。何事も枝葉に捉われずに物事の本質(幹の部分)に迫りたいと思うのは私も同感する部分であります。そういう意味で昨日は非常に有意義な講座だったと受け止めております。

※左が講師の野家伸也氏である。

ミック挨拶
私は生涯学習という言葉が好きです。あれは相馬に転勤し、相馬郷土研究会に初めて出席した際の会場が生涯学習会館でした。その時は何か重々しいものを感ぜずには居られませんでしたが、何度か参加を重ねているうちに、自分の定年後に目指すべきスタンスは生涯学習だという確信にも似た気持が芽生えて参りました。今の私は相馬郷土研究会に所属しながら、石巻千石船の会にも入会しようと思っています。

そうした合間に仙台市の公開講座なども受講し、己のスキルを高めて行きたいと考えています。このような志向の先には創作活動という大きな目標がごさいます。創作に関わる者はやはり、一箇所に留まることなく、常に知識に貪欲でなければならない。但し、新たな知識を求めるのは何も創作という目標のみではございません。自分の好奇心を満たすためでもごさいます。

私はこうした講座に出席する動機を三つ挙げたいと思います。

創作活動をする上で幅広い分野からの知識の修得は不可欠なものである。

己の好奇心を更に満たすことの為にものを知る。(満足感、達成感を得られる)

郷土史研究は自分が恩を受けた先祖の供養にも繋がるという信念。

以上の三本柱を常に意識することで、向学という指向に対して迷いのないものを感じます。インターネットから相当の情報を得られる昨今ですが、デジタルのみに依存することなく、時にこうしたアナログ的なライブにも積極的に参加し、外部から刺激を受けることも肝要と心得ます。何故なら向学心を持った多くの同志に接することができるからです。これによって更なる「知の回廊」がもたらされる。こんな素晴らしいことはございません。

これは願ってもないことであり、こういう姿勢を持つことで老化防止、ボケ防止にも繋がるような気も致します。ブロ友様の皆様に於かれましては、現代社会に於けるアナログとデジタルへの思い、或いは御意見などごさいましたなら、お手数ですがお聞かせ願いたいと存じます。本日もご覧頂きありがとうございました。

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