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 井伏鱒二 さよならだけが人生さ 
リンク動画について
井伏鱒二といえば「勧酒」(作詞は于武陵)の「さよならだけが人生だ」という翻訳が有名である。画像をご覧頂きたい。彼は好々爺であり、誰にでも優しく人間味に溢れている。彼は後進の面倒見も良くした。太宰治(1909~1948)は井伏鱒二のお陰で結婚できたようなものだ。井伏鱒二は太宰治夫妻の月下氷人(縁結びの神)であった。太宰治は後に井伏鱒二のことを悪人と述べているが、これはもちろん太宰特有のブラックユーモアであると佐藤春夫(1892~1964)は述べている。
井伏鱒二(1898~1993)
本名満寿二。広島県生。文芸協会員、早大仏文中退。1937年直木賞受賞・後に文化勲章受章。著書に『ジョン万次郎漂流記』『本日休診』『山椒魚』等がある。

以下:平凡社コロナブックス「作家の酒」より引用
鱒二は「文壇酒徒番附」で酒品、酒量、時間(持続力)とも横綱級で西の横綱を譲らなかったという。彼の壮年時の飲み方は豪快且つスマートだった。先ずは自宅に文士を招き、酒と料理をご馳走し、その後萩久保~阿佐ヶ谷~新宿へと流れるのが決まりだったという。飲み仲間には太宰治や中村地平等が居たという。この店は中野駅南側の居酒屋「北国」である。鱒二はよくこの店に出入りしていたという。

1982年「病気入院」、「萩窪風土記」より引用
この日、私は医者の忠告を守り。酒を飲みに出るのをよして、うちの4、5歳になる男の子と太宰がハサミ将棋を指しているところをスケッチした。(中略)よく私は一人で駅付近を散歩していて、南口の稲葉屋で太宰が笊蕎麦を前に、日本酒をちびりちびりと飲んでいるのを見ることがあった。

北国の座敷である。けして気どることのない彼は庶民的な店を好んだようだ。なかなかいい雰囲気である。

彼は冬場には熱燗を好んだようだ。

彼はすっきりとした辛口の東北の酒を好んだという。山形清酒「住吉」、「樽平」等である。

入ってすぐのこのカウンターのあたりに彼はよく座ったという。穏やかな彼は店主や客(同伴の文士や店の常連)と話を交わすのが好きだったのではないだろうか?

横町挨拶
今の自分は選り好み(他人との相性によって生じる確執)が激しく、とても井伏鱒二のようなオールマイティな酒が飲めませんが、年を重ねるにつれ、彼の心境に近づきたいという思考を抱いています。恐らく彼は老子の言う水のような対応(相手の出方によって変幻自在に出方を変えられる)が出来たのでしょう。

孔子の生き様を弟子たちは「六十にして耳に順う」、「七十にして矩を越えず」と述べましたが、今の自分はその狭間で喘いでいます。七十まではまだいくらかございますが、その頃までは鱒二のような穏やかな心境に達したいと考えています。余談ですが鱒二の好んだ酒(すっきりした辛口の東北の酒)は自分の好みと重なります。

話は変わりますが、自分は十数年前に東京生活で精神的不調に陥り、下町の居酒屋などで酒を愉しめなかったのは、いささか無念です。然らばいつしかこの無念を晴らしたい気が致します。(笑)
本日も最後までご覧頂きありがとうございました。


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コメント

No title

今晩は

寒い時最高のシーンですね 居酒屋で熱燗とおでん

気心の知れた友人との語らいいいですよね
ナイス☆

URL | 62まき ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

横町利郎様へ
井伏鱒二というと。私が高校の時に教科書で読んだ『山椒魚』が唯一感銘を受けたものです。そしてそれから何十年も経って。ブロ友様がこの『さよならだけが人生さ』が井伏の訳だとお聞きして感激したものです。これは悟りの世界ではと思っております。そして井伏の可愛く人間らしいなと思ったのは。晩年、大切な骨董である徳利を抱いて寝ていたと聞いた事です。これを聞いて私は少し近いなと感じたものです。私は今、伊万里の猪口を抱いて寝ております(笑)。本日も勉強になりました。ナイスです。有難うございます。

URL | 不あがり ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

酒を愛した文人で他との交流も含めて上手な
酒を楽しんだのでしょうね。
私もキリッとした辛口の日本酒が好きです。

URL | ことじ ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんばんは!

作家さんには、お酒を好む方が多かったのですね。
お酒を嗜まれる横町様にとっても共感は強くお有りで
自ずと行動やゾーンを意識され独特の世界が出来つつ
有るようにお見受けします。東京に懐かしまれる様な
居酒屋が残っていれば良いですね。

URL | suisyou ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんばんは。
とてもお酒を愛し良い飲み方をされていた方だというんが感じられます。
私も日本酒が好きですが、しみじみと飲むのも会話をしながらのお酒も良い時間だと思います。
いつか下町を再び訪れ、お酒が飲めると良いですね。

URL | joeyrock ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

こんばんは 横町さん

更新お疲れ様です。

男性はひとりで店に入り、飲むことができるからいいですね。
あこがれです。
女がひとりで飲み屋に入るのは、まだ抵抗がありますね。
居酒屋ですら敷居が高く、ひとりでは入れません。
見ず知らずの他の客や店主と話す…これも私には無理です。
羨ましい世界です。

URL | ヤスミン ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

紹介していただいた、于武陵の「勧酒」、原文は以下のようですね…。。。

勧酒

勧君金屈巵
満酌不須辞
花発多風雨
人生足別離

私流に解釈してみました…。。。

君に、この大きな金色の杯を勧めたい
なみなみと注ぐが、嫌がらないでおくれ
なぜならば
人生が花開く時には、逆風や大雨が降るように
災難も多いし、人との別れも多いのだから

今宵も、一杯やりながら貴ブログを拝見させていただきました…。。
井伏鱒二の酒にまつわるエピソードの紹介ありがとうございました…。。。

URL | boubou ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

新年おめでとうございます
本年もよろしくお願い申し上げます。
多彩な文筆活動を期待しています。

URL | ginrin ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

> 62まきさん
井伏鱒二の酒は良好な人間関係の媒体とも解釈しています。彼は酒も好きでしたが、人間が好きな作家でもございました。気難しい作家も多いですが、鱒二は最高のキャラクターと捉えています。

お陰様で、本日も厚誼を頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

> 不あがりさん
下戸の貴兄にこのような記事をお見せして大変申し訳ございません。貴兄の伊万里の猪口を抱いて寝るお気持ち良く理解できます。

人と相交える際に、わだかまりがある自分ですが、鱒二の明るさは武者小路実篤の向日性(陰日なたのない向日葵の如き陽気な性分)を彷彿させます。自分はどちらかと言うと志賀直哉のような気難しい面を持っているので、死ぬまでに鱒二や実篤のような境地に達する自信はございませんが、老境で目指す方向性としては不足のないものと認識しております。

貴兄のおはからいにより、本日も真摯なコメントを頂戴しました。感謝申し上げます。ありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

> ことじさん
一癖も二癖もある太宰治(志賀直哉と確執があった)が井伏鱒二の前にくると素直になる。これは鱒二が単に太宰夫妻の月下氷人であっただけではなく、それだけ徳があったのでしょう。自分の老境も彼のように穏やかでありたいと切に思っています。

鱒二は大変いい酒の飲み方を貫き95歳という長寿を全うしました。このような酒飲みには理想に近いものを抱きます。おはからいに感謝しております。本日もお志を頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

> suisyouさん
東京には下町がいっぱいあります。当時は余裕がなく、下町の居酒屋や一杯飲み屋に足を運ぶ術もございませんでした。往時関わった御仁の多くは今の自分を別人と見間違える気が致します。(笑)

寛解に至り、自分もようやくそんな心境になってきたのだと認識しております。然らば、井伏鱒二のような酒を飲むのは自分の夢でもございます。本日も真摯なコメントを頂戴しました。おはからいに感謝しております。ありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> joeyrockさん
井伏鱒二はさぞかし陽気な酒を飲んだのでしょうね。昨日鱒二のスナップ写真を探していたら、ベレー帽を被った頭https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_s447.gif">の上に子猫https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_a251.gif">を載らせていたものがあり、思わず微笑んだ次第です。
自分もそんな鱒二にあやかり、更に「丸くなった」と言われたいと思っています。(笑)

おはからいにより、本日もお励ましを頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> ヤスミンさん
自分もこういう性分ゆえ、人見知りはしますが、居酒屋や一杯飲み屋での会話は修行と捉えています。幼少期は引っ込み思案と言われた自分ですが、その欠点を修正に至らしめ、面の皮を厚くする為の術(度胸試し)と解釈しています。

それにしても鱒二のような酒を飲めたらどんなに愉しいかと察しております。こうした人物に目が行くようになってきた背景として、一昨年定年を果たしてから、少しずつですが自分の視野が広がってきた気が致します。

お陰様で、本日もお志を頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> boubouさん
「勧酒」もそうですが漢詩の特徴は様々な解釈(含み)が可能というところでしょうね。最初は投げやり?と感じた鱒二の訳でしたが、人物を知るにつれ、けしてそうでない(人間の交友における悟りを含んだもの)と感じてきました。

鱒二の人間性ありきの解釈と捉えています。酒に関する漢詩やエッセイは酒好きの自分と大いに接点があるので興味深いものを抱いています。おはからいにより、本日も真摯なコメントを頂戴しました。ありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> ginrinさん
こちらこそ宜しくお願い致します。鱒二の天真爛漫なポーズを忘れずに、今年も精進して参りたい所存です。

お陰様で、本日も厚誼を頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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横町様こんばんは
居酒屋でアツアツのおでんと熱燗は
お酒の飲めない私には夢のようです

楽しいでしょうね

生まれ変わったら男の方が良いですね

URL | ともたん ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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> ともたんさん
この時期の熱燗は特別で白楽天の言葉を借りれば内蔵を春が通り過ぎる感覚となります。これはけして大袈裟ではございません。
但し、燗酒の魅力を知ってしまうと禁酒日の時に辛く感じます。本日は禁酒日の為まさにその誘惑と戦っています。(笑)

本日もお励ましを頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

お魚さんとカエルさんのおはなしの人ですねhttps://s.yimg.jp/images/socialproducts/blog/img2/emoji/001.png">

結末をどうするか、

物語が単純であるほど少しの改訂に大きな意味を持ちますね。

ナイーブな内容を包容力で以て描ける作家だったのかもしれません。

私はかつてカウンターの内側にいたことがありました。訪れる多くの殿方の酒の飲み方には、その人柄が表れ、興味深く観察致しておりました(笑)。
良い酒を飲める人とそうでない人は雲泥の差があり、勉強になりました。



https://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_s316.gif">本日の横町様も、健やかで清々しい時を過ごせますようお祈りしていますhttps://s.yimg.jp/images/mail/emoji/15/ew_icon_s316.gif">

URL | 寿銀子 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

No title

> 寿銀子さん
井伏鱒二氏は見た目の通り天真爛漫であり、童心を持った作家と認識しております。何よりも彼には人徳がございました。然らば自ずと取り巻きヶ形成されたに相違ございません。それが彼の作品に一層花を添えたと捉えています。

ところで自分は過去に於いて'陸の上の船乗りのような仕事'(各地の建設現場を渡り歩く)をしていたことがございました。そんな折に地方の見知らぬ酒場に訪れることがよくございました。徳田秋声の「縮図」の世界があちこちにある。

これには普遍を感じます。自分が心残りなのは東京生活で下町の一杯飲み屋に行けなかったことです。心の病を発症していた所以にございます。寛解に至った今はその時の無念をいつしか晴らしたいとも考えております。

おはからいにより、本日もお励ましを頂戴しました。コメント、ナイスを頂きありがとうございます。

URL | 横町利郎 ID:79D/WHSg[ 編集 ]

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