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 息子との古美術鑑賞
私にはここ数年来楽しみにしていることがある。それは休日に仙台市若林区土樋の福島美術館を訪ね、古美術を鑑賞することである。とは言え、私自身は古美術を収集しているわけでない。古美術への趣味はあくまで鑑賞するだけである。これで何が得られるのか?と聞くかたもお在りになろう。その答えは後にしたい。

今まで十数回に渡って福島美術館を訪問した私だが、きょうは初めて二人で訪問に至った。相棒は我が息子である。息子はまだ成人に達してないが、妙に落ち着き払ったところがあり、本日の私の福島美術館探訪への誘いを二つ返事で受けたのである。私は趣味趣向を人に押し付けつるもの、また自分自身がそうされるもの大嫌いな性質(たち)ゆえ、断られるのを覚悟していた。それゆえ、息子の同意は己の意に反して何よりも嬉しいことであった。

こうした息子との関係の構築に於いては志賀文学の「和解」、「暗夜行路」、「大津順吉」、「山形」などが役に立ったような気がしている。

これは常設展に於ける江戸時代の仏像である。私自身、詳しいことはわからないが、息子には多くの悩める人の煩悩を救ったのがこれらの仏像であるということを伝えた。

息子は日本画にも興味があるようだ。これは堅山南風画「清遊スケッチ」である。シンプルな構図の中に海の男の逞しさが見え隠れする作品とお見受けした。

息子には「『清遊』とは何ともいい言葉ではないか。この絵の男たちのように、人は何事に於いても逃げることなく、真実を直視してどっしりと構えねばならない。君には細かいことに拘らない鷹揚な人物になってもらいたい。」と一言だけ伝えた。

清遊スケッチは今時に相応しい展示と承った。

福島美術館を出た後、広瀬川河畔に出た。水辺とは言え、やはり暑い。正面は太白区長町方面である。

過去の記事に著した記憶があるが、私は幼い時にここで親父の漕ぐボートに乗せられたことがあった。その時の親父の力強さは今でもはっきりと覚えている。
息子には数少ない親父との出来事や印象を主に聞かせた。息子はそれを嫌がらずに興味深かそうに聞いていた。

この辺で冒頭の問い(古美術鑑賞によって何が得られるのか?)についてお答えしたい。それは心の平穏を得られることである。この件に関しては息子も納得した様子だった。

最後に息子と蕎麦屋に行った。

昼を過ぎたばかりだったが、私はビールを頼んだ。昔で言えば、息子は元服の頃をとうに過ぎているが、一言だけ「昔で言えば君は家督である。君が二十歳になった暁には男の酒を酌み交わそう」と伝えた。

どちらかと言うと寡黙な息子だが、人としての成長を大いに感じたきょうの古美術鑑賞であった。
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