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亘理町の或るスナックにて
今までの人生を振り返ればけして順調な人生とは言えなかった。悔しいことだが私は多くの挫折を味わい、気持ちと裏腹に前に進まぬ歯がゆい思いをしてきた。時にこれを苦にして蟻地獄のような負の無限回廊に陥ったことがあった。

正直に話そう。9年半前には自害も考えた。自害を留まるか否かは紙一重、それゆえこうしてこの世に生を受けていることに深く感謝している。波乱万丈とも言える人生を歩んだ私が昨日仕事帰りに訪れたところがある。それはJR亘理駅すぐそばの或るスナックである。

夏至を過ぎたばかりのJR亘理駅は19時を回ってもまだまだ明るい。この明るさがこの日の私の社交欲に一層拍車をかけるのであった。

私が訪れたのは亘理駅から徒歩2分にある「スナックぎんれい」である。若い頃は人見知りが激しくとても一人でスナックに入れるような度胸はなかった。

だが、今は違う。少しでも多くの御仁と触れ合い、限られた己の人生の灯火を有効に使いたい。そんな気持ちは傍から見ればくたびれオヤジの「くそ度胸」と揶揄されるのかも知れない。それでもいい、この年になれば人様になんと言われてもいい。とにかく偽りのない己を貫くのみである。

私がこの店に入ったときに先客が三名(男性二人、女性一人)ほど居た。私は新参者ゆえ、仁義を切らねばならない。少し酔いが廻った私は席を立ち、一人一人に名刺(小説家ミック)を配り挨拶に及んだ。

某建設会社の現場所長、旦那を亡くしたばかりの未亡人、地元誌の執筆家、彼らの立場は様々である。私はその一人一人の生き様に興味を持ち、心の通う歓談を心がけた。

常温の地酒「高清水」は宮城清酒を代表する辛口ゆえ、殊の外酒が進んだ。気がつけば時刻は21時、私は最後に木枯し紋次郎のテーマソング「誰かがどこかで」をカラオケで歌った。

週末の佳境を向かえ、そろそろ人が混んできた。私はこの出会いが有意義なものになるという確信を感じた。同時にこの店の盛況振りはママの気さくなお人柄あってのモノダネと受け止めた。

ほろ酔いとなった私は皆さんに「本日はいいご縁を賜りました。」と心中を打ち明け、「スナックぎんれい」を後にした。
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